驚異的な盛り上がりを見せているバンクーバー冬季五輪。閉幕を目前に控え、寂しさを感じている人も多いであろう。そこで今回紹介するのは「Sweep!!(スウィープ)」、月刊コミックバーズで連載中の、カーリング漫画である。
かつて温泉街としてにぎわっていた「見並町」。現在はその面影も消え、ただただのんびりとした田舎町となっている。そんな見並町で生まれ育った女子高生「里子」がひょんなことから新しい温泉を掘り当てた。
しかし場所が隣接する「紀田町」との境界であったため、紀田町が所有権を主張。町の代表で勝負をし、勝者が温泉を手にすることとなった。その勝負の内容こそがカーリング。メンバーとして里子と友人の「あゆ」「まつり」に白羽の矢が立てられた。
カーリングは“4人で床をみがく競技”だと教えられ、風呂場で練習を重ねる里子たち。ある日クラスメイト「英子」のいとこがカーリングをやっていると聞き、見学に出かけた。眼前で繰り広げられる本物の競技に3人は衝撃を受ける。里子が恐る恐る口を開いた。『英子 カーリングって 何じゃ?』
漫画では非常に珍しいカーリングものであるが、現在発行されているコミックス1巻にカーリングのシーンはほとんど出てこない。なぜならば登場人物たちはカーリングがスポーツであることも知らないからだ。冒頭の場面から見るに、1巻は物語全体のプロローグだと思われる。
それでいながら、なかなかおもしろいものに化けそうな予感が。のんびりした環境の中、少女たちが新しいことを始めるストーリーは流行から定番になりつつあるし、多くの人に受け入れられそうだ。
主人公・里子をはじめ、少女たちにはそれぞれ秘密めいたものが感じられる。楽しくて仕方のないはずの高2の夏に確かに存在する甘酸っぱい空虚感。彼女たちはそれをカーリングで埋めていくことになるのだろうか。
それぞれのキャラクターも今後ますます立っていくであろうし、絵柄を変えて4コマにすれば「けいおん!」のような雰囲気にも仕上がりそうだ。だが実際は「ちはやふる」の夜明け前といったところ。これはあくまで物語の手触りの話であり、類似性うんぬんといったことではない。作品自体の完成度はけっして低くはないし、今後の展開しだいでは実写化も十分視野に入るであろう。
正直先がまったく読めないため、現状では評価しづらい。しかしその分のわくわく感と、雰囲気のある絵柄、主人公の魅力については保証できる。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)