「風藤松原」、太田プロダクション所属。風藤康二と松原義和からなる、ぺたぺたとした話し方で独特の世界をくり広げる不思議系コンビである。
結成7年目の現在までお笑いブームには乗り切れていない。2007年にいくつか賞を受けるもブレイクすることなく、爆笑オンエアバトルや改変期の特別番組に細々と出演する状態が続いている。しかしながら昨年秋には初の単独ライブを開催。今月1日にはその模様を収録したDVDが発売され、少しずつ調子が上向いてきているようだ。
十八番は会話形式のあるある漫才。『やだね~』というフレーズをブリッジ風に取り入れ、短いネタをいくつも詰め込むタイプのものである。それは例えるならばつぶやきシローが2人並んでいるような雰囲気であり、随所にセンスの良さは垣間見えるものの、正直ぱっとしない印象だった。
そんな彼らがあるあるネタから脱却を始めた。コント挿入型の漫才や言葉遊びを取り入れた正統派しゃべくり、まるで生まれ変わったかのような芸風の改革。特に年明けにぐるぐるナインティナインの特別番組で披露したネタは出色の出来であったように思う。
彼ら特有のゆるさはそのままに、心地よいリズム感が加わっている。やだね~の頃は軽い苛立ちの原因となった風変わりな話し方までもが比類ない武器へと変貌した。
女性的な話し方にくわえ、風藤、松原ともに草食系の風貌。エンタの神様では「ピーチなNEWカマー」なるキャッチコピーをつけられるほどそれっぽい雰囲気ではあるが、あくまでそれは芸風である。と思っていたのだが、件のぐるナイで松原にゲイ疑惑が浮上した。すると突然、普段は穏やかな松原が「ゲイちゃうわ!」とキレだしたのだ。
疑惑の真偽はともかく、漫才やコント以外にトークで鉄板ネタがあるのは強い。進化した漫才とトークの飛び道具を携えた風藤松原は、今年こそ陽のあたる場所へ出てこられるだろうか。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)