「未病」…元々は東洋医学の世界で使用されていた言葉で、「未だ病気ではない」が、裏を返すと「これから病気になりそうだ」という状態に対して使用する言葉だ。テレビCMなどでこの言葉を耳にしたことがある人も多いだろう。ある調査によると20代OLの8割は言葉もしくはその意味も含めて知っているとのことだが、それだけ自分たちにとってこの言葉が、若しくはその状態が身近にあるということの裏返しでもある…。
そんな「未病」について、養命酒製造株式会社が興味深い調査を行った。20代OLの男性上司との関係と未病の実態に関して、意外な相関性が明らかになったという。
調査は昨年11月に、30歳以上の男性上司を持つ全国の20代OL1000名を対象にモバイルリサーチにより実施された。
調査はまず、自身の現在の健康状態について「健康」「病気」および「未病」(=健康状態の範囲であるが病気に著しく近い身体又は心の状態であること)の3つに分けるとどこに分類されるかを尋ねた。 その結果、「健康」が46.6%、「未病」が46.2%とほぼ拮抗し、「病気」は 7.2%であった。ほぼ半数のOLが自身の状態を「未病」と認識していることが明らかになった。
続いて、自身の上司にあたる30歳以上の男性の健康状態をどのように思うかを尋ねたところ、「健康」が56.8%で最も高く、以下「未病」が32.8%、「病気」が10.4%であった。
興味深いのは、上司の健康状態と自分自身の健康状態との相関だ。本人が「健康」な場合は上司の健康状態は「健康」が68.0%となり、調査結果全体の56.8%と比べて10ポイント近く高くなっている。同様に本人が「未病」の場合は上司の健康状態は「未病」が41.6%で、全体の32.8%よりも高い結果になった。このことから、本人が健康の場合は上司も健康となり、本人が未病の場合は上司も未病である率が高かった。
そして、「上司との人間関係を健康状態に例えるとどの様に思うか」を単一回答にて聞いたところ、全体では「非常に健康な状態」と「まぁまぁ健康な状態」が合計で約7割となり、「未病」または「病気」の状態とする人が約3割であり、「健康な状態」が優勢であった。
これを上司と本人の健康状態別に見ると、両方ともが「健康」である場合は人間関係も89.6%が「健康な状態」である一方、両方ともが「未病」または両方とも「病気」の場合は人間関係が「健康な状態」であるのは58.2%にとどまった。
さらに、上司との関わりの程度を単一回答にて聞いたところ、「仕事のみの関わり」と「仕事以外でも、多少話をする程度」が合わせて85.1%となった。「趣味やプライベートな内容のメールを交換する」は5.7%、「食事や飲みに行ったりする」は6.2%と少なく、「プライベートな相談や悩み事も聞いてもらえる」はわずか2.8%にとどまった。
このほか、未婚のOLに対して「もし、結婚披露宴を行うとした場合、上司に何をしてもらいたいか」を単一回答で尋ねたところ、全体では「スピーチをしてもらう」が27.5%で最も高かったが、2位は「何もしてもらいたくない」で24.9%であった。また、「たくさんのご祝儀をもらう」という回答も13.7%にのぼった。ちなみに、「上司との人間関係」が「未病」または「病気」の状態である場合で見た場合、「何もしてもらいたくない」が39.6%でトップとなっている。
調査を行った、養命酒製造株式会社では、「OLもその上司も、会社での人間関係を健全に維持するためには、自分自身の健康管理に気をつけることが必要」と総括している。
「未病」という言葉は今から2000年前、後漢の時代に書かれた中国最古の医学書『黄帝内経』にすでに登場しているが、この中で「未病」は病気に向かう状態を指す言葉として登場しており、この未病の時期を捉えて治すことの出来る人が医療者として最高人=聖人である、と書かれている。自身の健康状態に不安を抱えている上司の皆さん!貴方の不健康が部下の健康にも影響を与えているかもしれませんよ。
(TechinsightJapan編集部 鈴木亮介)