巷に氾濫する雑誌で「Windowsシステムチューニング」として紹介されている技の多くは、チューニングというよりもメンテナンスである。デフラグを定期的にかけたり、バックアップをするのはパソコンの維持管理である。真の意味でシステムチューニングと呼べるのはタスク/プロセスごとのリソース割り当てを最適化することにある。これを非常に簡単に実行できるソフトが「Process Lasso」である。
現在のパソコンに搭載されているCPUは最低でもデュアルコア、主流は4コアである。しかし車のエンジンに相当するコアが複数あっても、アプリケーションがこれを有効に使わなければ宝の持ち腐れとなってしまう。
具体的には、ビデオエンコードやレンダリングといった多大なパワーを要する作業には、4コア全部あるいは半分を一斉に稼働させ、それ以外の日常作業のうち、バックグラウンドで動くプロセスとフォアグラウンドで動くプロセス、それぞれ独立したコアに専属で受け持たせるといったチューニングを施して、初めてマルチコアプロセッサが本領を発揮する。
「Process Lasso」は、インストールして常駐させておくだけで、特に何の設定も行わなくても自動で最適な処理を行うようチューニングしてくれるので、まずはインストールしておくだけでシステムの調子が良くなるであろう。
慣れてきたら、作業の状況に応じて、フォアグラウンドプロセスにパワーを集中させたり、プロセスごとにCPUの優先度を変更して、最適な稼働状況で運用できる。
設定内容は名前を付けて保存しておけるので、「ビデオエンコードをするときの設定」「Microsoft Officeを使って事務作業をするときの設定」などに分けて保存しておき、状況に応じて使い分けることが可能だ。
さらに、プロセスごとにどのコアを使うかあらかじめ決めてしまうこともできる。システムが使うプロセスを1番目のコア、フォアグラウンドアプリケーションのうち軽い作業に従事させるアプリケーションは2番目のコア、特にパワーを要するアプリケーションは3番目のコアといった具合に決めてしまえば、一つのプロセスのために、他のプロセスが足を引っ張られることもない。
その他、様々な細かい設定が可能なので、チューニング作業それ自体を色々実験して楽しむこともできる。
特にインテルのCore iファミリー搭載のパソコンを使っているユーザーにぜひ使って欲しいユーティリティソフトである。
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)