2009年は収束の年だった。初頭にはすでにキャラ芸人がほぼ駆逐され、漫才やコントをしっかりと見せるオードリー、はんにゃらがバラエティ面でも活躍。ところがその光はあまりにもまぶしく、新星が生まれづらい状況でもあった。
そこに現われたのが東京03(プロダクション人力舎)。華やかさはないものの確かな実力でキングオブコント2009を制し、今まさにスターダムにのし上がろうとしている。そしてM-1グランプリの栄冠がまだ記憶に新しいパンクブーブー(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)。03と同じく評価に値する力を持ちながら、長く埋もれていた存在だ。2010年は彼らを呼び水として、知る人ぞ知る実力派にスポットがあたる年になりそうだ。
長く続いたお笑いブームで、何度となく見聞きした“実力派”という言葉。キャラありきではなく、作りこんだネタを披露する芸人を指すキーワードとして非常に便利なものである。かくいう私もくり返し使わせていただいた。
あなたが実力派と聞いて、まっさきに浮かぶ芸人は誰であろうか。ナイツ? サンドウィッチマン? 我が家? 2丁拳銃? ザ・ギース? 個人の好みはあれど、彼らはみな実力を持っている。そう、気づけば現在のお笑い界は実力派であふれかえっているのだ。
では、漫才やコントをやらない芸人は実力がないのかというと、そうとも言い切れない。例えば出川哲朗はどうだ。彼はリアクション芸に関してはかなりの実力を持っている。さらに言えばこれから先、“実力派キャラ芸人”などといった新たなタイプの芸人が生まれる可能性だってあるのだ。
冒頭で昨年はキャラ芸人が消えたと述べたが、今年は実力派芸人がいなくなるかもしれない。みながみな実力を持っていれば、わざわざそのキーワードを使う必要もなくなるのだから。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)