writer : techinsight

【名盤クロニクル】ジョージ・デューク「ドリーム・オン」

1980年代前半の音楽のちょっと変わった楽しみ方として、「とにかくディスコで曲流してもらわないと売れない」という状況で、ディスコ向きじゃないミュージシャンが次々とディスコ(ダンスナンバー)を無理してやっちゃった作品を聴いて苦笑いするというのがある。
有名どころで、デヴィッド・ボウイの「レッツ・ダンス」やローリング・ストーンズの「ミス・ユー」などが、今となってはお笑いな作品となっている。
しかし、ダンスにかけては白人より数段上の黒人ミュージシャンのディスコへの取り組みはなかなか凄い。今回紹介するジョージ・デュークの「ドリーム・オン」もその1枚である。

黒人ミュージシャンで売れまくっていたのは、EW&Fと今年亡くなったマイケル・ジャクソンであるが、元々ソウルフル・ジャズ系ピアニストのジョージ・デュークが「俺っちにだってできらぁ」とばかりに、ディスコに取り組んだこのアルバム。
なかなか良くできたダンス/ブラックコンテンポラリーアルバムであるが、どこか上品というか、ディスコ的な意味での「阿呆」になりきっていないところが、実に奥ゆかしい名作である。

このアルバムは、当時流行していたオシャレなカフェバーでよく流れていた。EW&Fやマイケル・ジャクソンは、有線放送であまりに頻繁に流されて陳腐化してしまったのだが、ジョージ・デュークはそれほど大衆的に知られているミュージシャンではないし、EW&Fやマイケル・ジャクソンのようにソウルやモータウンルーツの泥臭い音楽ではないから、大変格好良かった。

今聴いても、なかなか良質なブラックミュージックとして楽しめる。ディスコを知らない世代にも、ぜひ聴いて欲しい隠れ名盤と言うべきだろう。

(収録曲)
1. Shine On
2. You
3. Dream On
4. I Will Always Be Your Friend
5. Framed
6. Ride on Love
7. Son of Reach for It (The Funky Dream)
8. Someday
9. Positive Energy
10. Let Your Love Shine
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)