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【パソコン快適活用術】(温故知新)ソフトウェア無料の時代

かつて年末近くになると、パソコンソフト売り場には、年賀状ソフトとウィルス対策ソフトの最新版が山と積まれ、ユーザーは競い合って好きな製品を購入していたものだ。
しかし、2009年現在、これらのジャンルを含め、多くのソフトはそれなりの性能のものが無料で入手できる状況となった。

1990年代に、安定性の高さと無料を売り物にWindowsに代わるべきOSとしてLinuxが注目されたが、皮肉なことにLinuxはサーバー分野ではシェアを伸ばしたものの無料ではなくなり、無料化はWindowsやMacの陣営で実現してしまった。(OSは有料であるが多くはパソコン代金込みである)

年賀状ソフトは、Adobe Air上で動作する「プリントマジック」や日本郵便謹製の「はがきデザインキット」が提供され、素材は同じくネットで無料配布されているものをダウンロードして使えるようになった。

ウィルス対策ソフトは、性能面で問題はあるものの、大半のウィルスには対応ができているAviraやMicrosoft Security Essentialsが提供されている。

これら無料ソフトの猛攻により、従来より有料版ソフトを販売しているベンダーは、年賀状分野は、追加フォントの多さや名簿データベースの充実に力を注ぎ,ウィルス対策ソフト分野では、検出率の高さやトータルプロテクション機能の充実で差別化を図っている。

また、かつてシェアウェア(これも有料だ)の独壇場として君臨していたソフトも、現在はフリーウェアで大半の用が済むようになっている。

エディタ、メーラー、メディアファイル変換、オフィスソフト、メディアプレイヤーなど。これに無料ののWebサービスが加わり、2009年末にいたってGoogle日本語変換が提供され、いよいよ日本語変換プロセッサまで無料となった。

現在、金を払って入手すべきは、ソフトウェアの「機能」ではなく「性能」に代わっている。

たとえば、ウィルス・スパイウェア・フィッシングなどからパソコンをトータルで守る高性能有料ウィルスソフトや、強力な文章校正支援機能を持つワープロソフト、テレビ番組級の動画編集機能を持つ映像編集ソフトなどは有料版しかない。

また、いくら無料ソフトが普及してもプロのビジネス現場で通用するのは有料版ソフトを高度に使いこなす能力なのである。

無料ソフトは、そうしたスキル研鑽のための練習台だと考えた方が良いだろう。冒頭に紹介したLinuxの現在の状況を見て得られる教訓は、「きちんと使えてサポートを受けられるようになるにはそれなりの金がかかる」ということである。
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)