27日深夜、フジテレビ系で「IPPONグランプリ」が放送された。一年かけて大喜利芸人日本一を決めようという大掛かりな番組である。
IPPONグランプリには大喜利好き芸人10人が参加。A、B、2つのブロックに分かれて大喜利バトルを行う。採点を行うのはそれぞれ他のブロックの芸人たち。Aブロックを審査するのはBブロックであり、逆も同様である。1人2点を持ち点とし、10点満点ならば“IPPON”となるわけだ。このIPPONの数がもっとも多い芸人が決勝戦に進出する。
決勝戦はA、B各ブロックを勝ち抜いた2人の直接対決。他の芸人すべてが審査に回り、満点を取ればIPPONだ。3つIPPONを先取した芸人が優勝となる。
なかなか込み入ったルールだが、これで優勝すれば日本一というわけではない。このIPPONグランプリ、27日の放送を皮切りに都合5回開催する予定であり、2010年の年末に日本一が決まるというのだ。
大喜利はシンプルなルールでありながら、笑いのセンスとスピードが要求される。作りこんだネタを披露したり、フリートークで観客を沸かせるのとはまた別の能力が必要である。
大喜利といえば笑点、という揺るぎない構図のせいか、大喜利自体をがっちり楽しませるテレビ番組はこれまであまりなかった。ところが今年の春に始まった日本テレビ系「フットンダ」は新年特番を放送するまでになり、NHKで放送されている「ケータイ大喜利」の勢いもまだまだ右肩上がりである。そんな中でのIPPONグランプリのスタートは、意外なブームの到来を予感させる。
レッカペでショートネタを、レッシアでコントをブームにしたフジテレビが、大喜利に目をつけた……のかもしれない。
大喜利は小細工がきかないため、出演する芸人次第でおもしろさに幅が出てしまう。そんな危険なものを年末特番として持ってきて、しかも放送前から5回開催を決定しているのは相当の自信があるからだ。豪奢なセットもその表れであろう。
27日の放送は大成功といっていい。千原ジュニア、ビビる大木、バナナマン・設楽、ハリセン・箕輪などなかなかのメンバーをそろえ、飽きることのない2時間だった。優勝したバカリズムは解答の量、質ともに他の出演者を圧倒。シュールかつクレバーなネタの数々を生み出す脳内が透けて見えるような解答の連続だった。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)