パンクブーブーの優勝で幕を閉じたM-1グランプリ2009。全体を通してばらつきはあったものの、突き抜けておもしろいネタが目立つ、レベルの高い大会であったように思う。
栄冠を勝ち取ったパンブー、“鳥人”の笑い飯もさることながら、うならされたのがNON STYELE(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)。大舞台に気負うことなく王者の風格すら漂う漫才に、心から感服した。それと同時に一つの疑念がよぎる。彼らはなぜ一度、準決勝で敗退したのか。
2007はご存知の通り、敗者復活枠から勝ち上がってきたサンドウィッチマンが優勝。実力はあるものの知名度の点で他に一歩譲る彼らが正当な評価を受けなかったかもしれないことは、あってはならないと思うがまだ理解できる。2008のオードリーも同様。彼らの漫才は斬新であり、見る者を選ぶからだ。しかし、ノンスタに関しては準決勝で涙を飲む理由が見つからない。
確かな実力、高い知名度、そしてなにより、M-1運営側が2008優勝という形で押した太鼓判。ノンスタの敗退を知った時、私は彼らがそろいもそろった好条件をひっくり返すほどの何かが起きたのだと思った。
ノンスタの力量がこの一年で著しく下がったのか。他の出演者のレベルがべらぼうに高かったのか。しかしこれらの危惧は決勝戦でふっとんだ。あの漫才を見る限り、どう考えても正面突破できていたはずだ。
考えられるのは、昨年の覇者ということで点が辛くなってしまったこと。例えばつい犯してしまった小さなミスが、悪い意味で過大に評価されてしまったのではないか。そうだと思いたい。そうでもなければ納得がいかない。世間でまことしやかに囁かれている吉本陰謀説すらうのみにしてしまいそうだ。
年々期待値が高まっているM-1敗者復活戦。注目されるということはそれだけ透明性や審査の精度が求められるということを運営側にはしっかりと認識してほしい。毎年栄冠をめざして集まってくる4000組強の漫才師のために、そしてその何千倍ものお笑いファンのために。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)