writer : techinsight

【3分でわかる】ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない編

 年末年始は、ふだんは手を出しづらい長編漫画と向き合うのにもってこい。そこで紹介するのが泣く子も黙る「ジョジョの奇妙な冒険」。3部までは以前に紹介しているので、今回は4部“ダイヤモンドは砕けない”編からどうぞ。

 人口5万3千人、牛たんのみそづけが特産品の「杜王町」に暮らす「広瀬康一」。高校に進学したばかりで希望と不安に胸膨らませる彼の前に「空条承太郎」が現れた。

 人探しのためこの町を訪れた承太郎が康一と会話をしているすぐ側で、少年同士の諍いが始まる。からまれた少年ははじめは下手に出ていたものの、髪型を馬鹿にされたことで激怒し、「スタンド」で不良たちをなぎ倒した。彼こそが承太郎が探している「東方仗助」、承太郎の祖父「ジョセフ・ジョースター」の隠し子であった。

 仗助が4部の主人公、4人目のジョジョである。父であり2部の主人公であったジョセフの血を色濃く継いでおり、明るく親しみやすい少年だ。そんな仗助が戦いに身を投じるようになるのは、世界を救うためではない。ジョースター一族の誇りによるものでもない。自らの手が届く範囲を守るためである。

 3部まではディオという圧倒的な悪が敵として据えられていた。打倒ディオのためにジョナサン、ジョセフ、承太郎、それぞれの主人公がそれぞれの仲間と力をあわせて立ち向かっていくのがジョジョワールドであったはずだが、この4部はやや毛色が違う。

 4部の底辺に流れるのはご近所感。小さな町に集まるスタンド使いが惹かれあい、時に戦うさまを、仗助の日常生活を中心に描かれている。ゆえに「シンデレラ」や「アクトン・ベイビー」など、まったく戦わないスタンドも登場する。

 ディオとジョースター一族との戦いを歴史絵巻のように書き綴った3部までと比べると、確かに4部はスケールが小さい。だがしかし、その分中身は凝縮されている。

 4部のラスボスは「吉良吉影」、美しい女性を殺すことを最上の喜びとしている殺人鬼である。その変態性はジョジョワールドにぴったりとはまり、ディオとはまったく別の恐怖を生んだ。最終決戦はギミック満載で手に汗握るジョジョバトルの最高峰。スタンド能力を持たない少年の活躍が強く読者の胸を打つ。

 4部を語る上ではずせないのが漫画家「岸辺露伴」。能力の高さと自己中心的な性格で他の登場人物を振り回し、多くの読者を魅了している。彼の『だが断る』は、元ネタを知らずに使っている人もいるほどの名台詞だ。

 ジョジョ好きならば、何部が一番好きかという話で盛り上がった経験は絶対にあるはず。そんな時、私は常に4部であると即答している。仗助らの日常が見える戦いはまさに“奇妙な冒険”の言葉にふさわしい。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)