writer : techinsight

【お笑い峰打ちコラム】M-1グランプリ予復習 モンスターエンジンの策略

 暇を持て余した神々がオールザッツ漫才を制してから2年。モンスターエンジン(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)は、2度目のM-1ファイナルに挑戦しようとしている。

 昨年のM-1は7位と振るわなかったモンエン。キングオブコント2009でも決勝進出はするものの、5位に終わっている。順位だけ見るといまひとつパッとしない印象だ。

 モンエンの笑いはやや通好みである。最近頻繁に披露している“ゴッドハンド洋一”は比較的わかりやすいのだが、彼らの出世作となった“神々の遊び”は、見る人によってはどこがおもしろいのかさっぱりわからない類のものであろう。西森、大林それぞれのピンネタである鉄工所ラップや笑福亭仁鶴の物真似もしかりである。

 モンエンのネタには、圧倒的にポップさがない。それは華やかなりし現在のお笑いブームで覇権を握るには致命傷である。しかし確かに存在する、およそ1年の間に漫才で2度、コントで1度賞レースの決勝戦まで上りつめた事実。これは彼らが確固たる実力を持っている証に他ならない。

 賞レースでのモンエンはわかりやすいネタを心がけているように思う。奇をてらわずに評価されることは確かに実力のなせる業だと思うが、個人的には大舞台でこそ神々のようなアナーキーなネタが見てみたい。審査員一同がぽかーんとするのもまた一興ではないか。

 しかしそれ以前に、キングオブコント2008で神々を披露し、準決勝敗退という事実がある。やはりあのネタでは決勝の壁は越えられないのか。

 とはいえ、普段はブームと無縁のオリジナリティあふれるネタを披露し続け、賞レースでは策略を練って結果を残すというやり方は、いまだ日の目を見ていないお笑い芸人たちの道しるべとなりはしないか。モンエンが仮にM-1のタイトルを獲れば、それはお笑い界をひっくり返すような事件となるのかもしれない。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)