writer : techinsight

【お笑い峰打ちコラム】M-1グランプリ予復習 洋々たるハライチ

 実力派ぞろいのM-1グランプリ2009ファイナルに、見慣れぬ名が。「ハライチ」、ワタナベエンターテインメント所属の、結成4年目のコンビである。

 ALASKAと書かれた服を着ているのがツッコミの澤部佑、もう一方がボケの岩井勇気。どちらも23歳という名実ともにフレッシュなハライチ。今年の春、キャンパスナイトフジのレギュラーに大抜擢され、今もっとも勢いのある若手芸人だ。

 十八番は“ノリボケ漫才”と自称する一風変わった漫才。岩井が提供する言葉に対し、澤部が解説を入れていくのだが、これがなかなか新しい。いわゆる“ノリツッコミ”を非常に長いスパンで行うとでも言えばいいだろうか。

 ネタを言葉で説明するのは非常に難しいのであるが、レッドカーペットを見ている人になら、○○のやーつ、で通じるであろう。そう、彼らがM-1のファイナルまで来ているのである。

 そこで気になるのが、M-1もノリボケで行くのかということ。確かに1分程度の長さなら十分におもしろいネタだが、4分はもたないのでは、と考える人もいるだろう。ところが、どうして。ハライチは昨年のM-1敗者復活戦でもノリボケ漫才を披露している。少なくとも私は、4分間飽きることなく楽しめた。

 M-1は4分間でいくつ笑いを取れるかが重要だ、という人がいる。笑いの質や量より数が大事だということになれば、ハライチはがぜん有利だ。

 昨年12月の時点でナイツを新鮮だと言ってしまうような、それほど笑いの旬に敏感ではない審査員なら、ハライチは初見の可能性もある。初物の衝撃から、まさかのシンデレラストーリーが生まれるかもしれない。しかし彼らには、今年あわてて優勝する必要はそれほどないだろう。

 ハライチはレッカペに出演する以前から、ぐるぐるナインティナインのおもしろ荘で注目されてきた。おもしろ荘はレッカペやあらびきほどの派手さはないが、青田買いには定評がある。小島よしおやオードリーなど大ブレイクした先住民たちの後を、ハライチも追うことになるのであろう。M-1ファイナルの舞台には、それだけの力がある。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)