2年ぶり2度目のM-1グランプリファイナル進出を決めたハリセンボン(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)。この2年の間に、彼女らはテレビで見ない日がないほどの売れっ子芸人となった。
コントからトークまで、ハリセンの活躍の場は広い。近藤の角野卓造、箕輪の前歯、以前からのつかみネタも活かしつつ、バラエティ番組の空気に驚くほどなじんでいる。ネタで有名になってからバラエティに出始める芸人が多い中、彼女らは同時進行だ。
知名度は十分、ネタも断片的には知っている人が多い。この2つはナイツの時に言及した“笑いやすい温度”をかもし出すのに十分な要素である。しかし、ハリセンの真価は漫才にはない、と私は思う。
漫才の中にコントを挿入する“漫コン”がハリセンお得意のスタイル。近藤のキャラを活かしつつ、シチュエーションを限定したネタはよくできている。が、演技の稚拙さは致命的。ネタが練られていればいるほど、演技力とのミスマッチが気になって仕方ない。
ネタ中で、役割上とはいえ箕輪が一歩引いてしまうのももったいない。彼女の天分は作られたネタの中ではどうしても活かしづらいのだ。
箕輪の笑いの瞬発力はすばらしい。一発ボケ、とでも言おうか、その場に合ったボケを瞬時に生み出す力は現在活躍している芸人でも屈指である。コント要素を捨て、がっちりとしたしゃべくり漫才の方が箕輪は力を発揮できるように思う。
箕輪の発想豊かなボケに近藤の勢いのあるツッコミが合わされば、それだけで王道の、かつ質の高い漫才ができあがりそうだ。そうなればタイトルも夢ではない、かもしれない。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)