イタすぎるセレブ達

writer : tinsight-yokote2

【イタすぎるセレブ達・番外編】“ブルース・スプリングスティーンがいとこの死でカンザス公演キャンセル” に学ぶ。

「ブルース・スプリングスティーン&Eストリート・バンド」が、カンザス・シティ公演を行うはずだったのが10月26日のこと。もう1週間近く経っているため記事にすることもためらわれたが、少しばかり日米でこのキャンセルに関して温度差があることに気づき、やはりご紹介することにした。

カンザス・シティで26日夜、 “ザ・リバー” 、 “ボーン・イン・ザ・USA” などのヒットで知られる人気ロッカー、ブルース・スプリングスティーン(60)のコンサートが予定されていた。しかし、バックステージのスタッフでもあったレニー・サリヴァンさんという彼のいとこが亡くなったことを受け、急遽中止となってしまった。

36歳のそのいとこは、カンザス・シティの「インターコンチネンタル・ホテル」でコンサートの数時間前に遺体となって発見され、地元警察が遺体を検証、周辺人物への聞き取り調査を行ったが、同時に「殺人の可能性はない」としていた。

大変なショックを受けたスプリングスティーンは自身の公式サイトで、コンサート中止の報告とお詫び、チケットの払い戻しについて急きょ発表した。

離婚などが多い割には家族行事を大切にする米国人、しかも人の誕生や死、慶弔の行事はどのようなスケジュールより最優先という律儀な国民でもある。このコンサート中止はカンザス・シティの人々を悲しませたが、大事なファミリーの死では仕方ないと、殆どの人が納得している。

このことについて音楽関係に詳しい友人と話したところ、「事件性があって事情聴取が長びくと警察に言われたならともかく、日本のアーティストならまず中止にはしないでしょう。楽しみにしてくれているファンが最優先。ステージでは悲しみを一切見せないのがプロっていう意識も強いしね」と語る。

ご承知の通り、俳優の長田裕之氏の愛妻で女優の南田洋子さんが亡くなられた。裕之氏は洋子さんが間もないことを覚悟の上で舞台の仕事を優先させ、洋子さんが息を引き取った際ベッドに付き添えなかった悔しさは、心の中で必死に滅却したのだろう。

“常に人のために” という心掛けは日本人のひとつの美徳、彼を立派だと褒め称える声が強いが、これについて米国人は「ウソでしょう?奥さんが危ないなら早くキャストから降りればよかったのに。感情を押し殺して、きちんと舞台に立てるなんて信じられない!」と驚く。

人からの評価云々より自分の心に正直でありたいとし、また周囲もそれを認める米国人。そして私情を引っ込め、和を、輪を重んじる人物を讃える日本人。同じ時期に目にした2つのニュースに、実に国民性の違いがよく表れていた。どちらが素晴らしいとは決して語れないのだが。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)