仕事で対外的に提出する「提案書」や「説明書」の作成には多くの人間が携わる。「てにをは」や同音異義語の区別がしっかりしていたり、二重謙譲表現を取り除いたりする作業は、Microsoft Wordの文書校正機能でチェックできるが、悩ましいのは履歴管理である。
重要商談に使用される文書は、当初執筆者(叩き台とも言う)の原案に始まって、主任校正バージョン、課長代理校正バージョン、部長バージョン、本部長バージョンと校正を経ていくうちに、いつどこでどの部分がどういう理由で変更になったのかわからなくなることが多い。
こうしたときに、各役職のバージョンを比較(Compare)して、改訂履歴を一覧してくれるサービスが、「Compare My Docs」である。
全部で7つのバージョンを一度に比較できるので、まずは先に例に挙げた「原案」「主任校正バージョン」「課長代理校正バージョン」「部長バージョン」「本部長バージョン」「最終案」をアップロードして比較してみると良い。
どの時点で、どこの部分がどう入れ替わったのかが一目瞭然で把握できる。この改訂履歴を追っていけば、どういう考えの基に文章がブラッシュアップされていったか、当初記載されていて削除された事項は何か、新たに付け加わった事項がどれかなどが判明する。
主任校正バージョンと課長代理校正バージョンを比較して、同じフレーズで表現が違うような箇所について、どちらを採用するかはマウスクリックだけで差し替えられるので、それぞれの校正履歴が忠実に反映される。
最終的には、各役職の修正したバージョンを比較し、最も優れていると思われるフレーズを貼り合わせながら、提出用バージョンが完成する。あとは社長の承認を取れば良い。
これらをメタデータとして整理しておけば、商談向け文章のキモがつかめるだろう。これをビジネスインテリジェンスとして、整理活用すれば、商談を取れる確率が高まるに違いない。
ビジネスマン社会は複雑である。主任と課長代理でソリが合わないような場合「そもそもオマエの文章にはセンスがない!」「センス?そんなものアナタに言われる筋合いはありません」などと言い合って、いつまでも文書が練り上がらないような事態が起きる。
こうした場合、双方の校正案をバランス良く採用しながら妥協していくというような作業が必要になる。そうした作業の助けになるサービスである。
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)