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押井守の「修行時代」が見られる! 『サイエンスアゴラ2009』特別イベント開催

宮崎駿と並んで世界に誇るアニメ界の重要人物になった押井守が若き日に演出を手掛けた作品『ニルスの不思議の旅』劇場版が、最新のデジタル・リマスターを施されて大画面で蘇る

今年の9月9日、ビートルズの全アルバムがリマスター発売されるという出来事が起こった。あのビートルズの曲がオリジナルの音源に近い形で、あるいはもっとクリアに聴こえるように加工されたこのリマスター盤は、発売されると同時に100万枚出荷されるというヒットを飛ばしている。逆に言えば現代はそれほどリマスターの技術は向上していることを意味する。ノイズなどの経年劣化を取り除いた、生々しいオリジナルに触れられる時代なのだ。

それはアニメの世界でも例外ではない。今年の11月3日、最近では『イノセンス』『スカイ・クロラ』などの作品で知られる押井守が、80年代初頭に演出家として参加した『ニルスの不思議な旅 劇場版』がデジタルリマスターを施して上映会が行われる。これは科学技術振興機構(JST)が主催する『サイエンスアゴラ2009』特別イベントの一環として行われるものだ。『ニルスの不思議な旅 劇場版』は彼の名前を一躍有名にした『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』を手掛けるよりももっと前の作品で、いわばまだまだ無名だった時期の押井守が下積みで演出の技術を学んだという重要な作品である。また、放映されるはずが当時の事情でお蔵入りになったという作品でもあるのだ。もっともこの劇場版はDVD版として販売されているが、そこはそれ、やはり大画面で最新の技術を施した作品を見てみたいではないか。

参加料は無料で、定員は当日先着順200名となっている。大画面で若き日の押井守の姿や、ひいては80年代初頭のアニメの世界により生々しく触れることができる、実に魅力的なイベントだ。
(TechinsightJapan編集部 稲田つばす)