writer : techinsight

【ドラマの女王】本来は昼ドラ仕様?ただいま苦戦中。「小公女セイラ」

フランシス・ホジソン・バーネットによる児童文学の名作「小公女セーラ」。舞台を日本に移してドラマ化したTBS「小公女セイラ」。初回は2時間スペシャル、そして象3頭も出演したインド・ロケ敢行と、意気込みが感じられるのだが、視聴率は初回7.4%、2回目8.0%と振るわなかった。なぜだろうか。

主人公・黒田セイラ役の志田未来は、話題となりヒットしたドラマ「14才の母」、映画「誰も守ってくれない」など16歳でありながら、主役を務められる実力派若手女優。ドラマ開始時の大富豪のお嬢様のときの何ひとつ苦労のない境遇よりも、父が亡くなり身を寄せるところもなく女学院の使用人としてこき使われている設定の方が、くりくりとした目力の強さやたくましさを感じられて彼女の味が出ているように思える。

そのセイラをいじめる全寮制名門女学院の院長を樋口可南子が演じる。ソフトバンクのCMでは、”夫が犬”という設定で時にとぼけた味を出しているが、今回は冷徹でとても教師とは思えないほどの悪役ぶりだ。

志田未来は、初回放送前に「家族みんなで観てほしい」とドラマをPRしていた。それを考慮しての土曜日夜8時枠なのだろうが、はたしてこのドラマはファミリー向けや子供向けと言えるのだろうか。

嫌がらせやいじめのシーンは親は子供に見せたくないだろうし、家族の団欒のひとときに和やかに見られるものでもないだろう。実写なのでアニメよりもリアルである。同じく志田が出演していた、過激な内容で賛否両論ではあったが視聴率が良かった「女王の教室」は、同じく土曜日ではあったが夜9時枠であり、その1時間差は大きいように思う。また、いまどきの子供としても、文句も言わず嫌がらせに耐え忍び、それでも相手を「好き」と言い切る、まるで天使のようなセイラを見ても共感できるのだろうか。「使用人」というシチュエーションもなかなか理解できないかもしれない。そして、児童文学をドラマ化と聞いても、いまの子供たちが児童文学自体に興味を持っているのか。そこにも疑問が残る。

もしかすると、これはドロドロしたタイプの昼ドラや、時に主人公がいじめられることもあるが、純粋で素朴なストーリーの韓国ドラマが好きな主婦層に人気がでる作品かもしれない。子供の頃、1985年に放映された「名作劇場・小公女セーラ」のアニメをわくわくしながら観ていた人もいるだろう。しかも脚本は、アラフォー世代が夢中になったドラマ「ビーチボーイズ」なども手がけた岡田惠和だ。だが、土曜日夜8時は、主婦がひとりでゆっくり観るにはなかなか難しい時間帯。平日の午後にでも再放送したらいかがだろう。あるいは録画してひとりの時間に観ている「隠れ視聴率」は高いのかもしれない。

最近は漫画を原作にしたドラマが多く、海外の名作を日本のドラマにするという試みはあまり見かけない。演技も、少しオーバー気味なところもあるがこのストーリーには合っていて悪くない。今後、視聴者がどのような評価をするのか注目したい。個人的には、ディズニー映画をちょっぴり思い出すような、CGで作られたネズミの親子が気に入っている。
(TechinsightJapan編集部 関原りあん)