企業や官庁で使われている業務アプリケーションは、マイクロソフトの開発ツールであるVisaul Basic(VB)を使って構築されたものが多い。
比較的習得が容易とされるプログラミング言語BASICをもとにしたツールであることから、生産性が高く、エンジニアを確保しやすかったことがその理由だが、近年、業務アプリケーションの最適化を図るためのWeb化が注目されており、これまで業務に即して改良を重ねてきた成果の蓄積を、無理なくWebベースの利用に移行するための「マイグレーション」という分野で、キヤノンソフトウェア株式会社と株式会社電通国際情報サービス(ISID)が協業することとなった。
両社の協業によるVBのWeb化マイグレーションは、ISIDの提供するVBで開発されたアプリケーションの画面をAdobe AIR/Flexに変換するツール「Coraleef」と、キヤノンソフトの提供する「Web Performer」を組み合わせることでAdobe AIR/Flexへの移行を効率良く実現し、企業のVB資産を活用しながら、開発の生産性を高めることが可能である。
「Coraleef」は、金融機関の業務アプリケーションなどで既に実績がある開発ツールである。対象を画面の変換に絞っているのが特徴であり、データ処理などのロジックは、「Web Performer」などを利用する。画面変換の手順が非常にシンプルで取り扱いやすく、効率良くAdobe AIR/Flexへの移行を進めることが可能である。
Web化に際して、単純なブラウザベースの操作に移行するとなれば、ボタンやファンクションキーなど操作を大幅に変更していく必要があるが、RIA(リッチ・インターネット・アプリケーション)基盤の代表格ともいうべきAdobe Air/Flexを介在することで、これまでと変わらない操作画面をWebを意識させずに、Web化することが可能となり、エンドユーザーの操作最修得の時間とコストを省きながら、メンテナンスの容易さを確保することができる。
「Web Performer」と「Coraleef」によるWeb化マイグレーションは、キヤノンソフトが一括して提供する。
価格は次のとおりだ。
・Web Performer SE版 280万円(税別)から
・開発クライアント 20万円(税別)から
・Flexオプション 80万円(税別)から
・100画面まで50万円(税別)から(年額)
本ソリューションに関して、キヤノンソフトとISIDは、10月23日アドビシステムズ社(ゲートシティ大崎)において『VBマイグレーションセミナーFlexで簡単RIA開発!~』と題し、Visual Basic資産をAdobe AIR/Flexにマイグレーションする方法を具体的に紹介するセミナーを開催する。
2000年代前半までは、全く新たなパッケージソフトを導入して、業務をパッケージに合わせたり、既存アプリケーションをWebに再配列するといったソリューションが注目されたが、エンドユーザーの混乱を招くなどのデメリットも生んだ弊害への反省から、レガシーなアプリケーションを最新のアーキテクチャ上で無理なく継続使用していくソリューションが注目を集めていくであろう。
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)