writer : techinsight

【3分でわかる】銀魂 前編

 週刊少年ジャンプで連載中の漫画「銀魂」のOVAが19日付のオリコンDVD・ブルーレイランキングでトップに輝いた。あの銀魂がずいぶんと立派になって……。一ファンとして嬉しい限りである。

 「侍の国」、かつてそう呼ばれていた江戸の空には宇宙船が飛び交い、町には「天人(あまんと)」と呼ばれる異星人が跋扈していた。

 遡ること20年前、突如江戸を襲来して開国を迫った天人。その強大な力を持って不平等な条約を結び、幕府の中枢に根を下ろした。それを良しとしない侍の反逆を抑えるために施行されたのが廃刀令であり、結果、刀と地位を奪われた侍たちはその誇りすらも捨てようとしている。

 そんな時代に腰に木刀を下げ、己の武士道を貫き通す男がいた。「坂田銀時」、金次第でなんでも請け負う万事屋(よろずや)を営む銀髪の侍である。

 とまあ、こんな風に書いてしまうとなんだかえらく格好いい作品のように勘違いさせてしまいそうだ。始めに言っておくが、この作品は江戸を本来の姿に戻すために悪の天人をばったばったとなぎ倒すキャー銀さーん、的な物語ではない。

 天人襲来の折は国を守る攘夷志士として戦に参加した銀時だが、現在は万事屋稼業。死んだ魚のような目をし、甘いものとパチンコとジャンプが好きで、怠惰であり、貧乏である。およそ少年漫画の主人公とは思えないだめ人間であるのだが、困っている人を放っておけない性質であり、自分の目の届く所、剣の届く範囲のみを護ることに明け暮れている。

 これでもまだどこか格好いい想像ができてしまう。確かにシリアスなエピソードも少なくはないのだが、基本的にはギャグ漫画だと思ってもらって差し支えない。むしろそういう心構えができていないと読んだ後に騙された気になってしまうので要注意だ。

 この作品は一連したストーリーを追うのではなく、エピソードを消化するタイプとなっている。エピソードは1話で終了するものからコミックス1巻以上を割くものまで長さはまちまちで、エピソードごとに“シリアスパート”“ギャグパート”(これらの言葉は作中で実際に使われている)に大別できる。

 長いシリアスパートのあとには短いギャグパートを2つ3つ持ってくるなど、バランス感覚が絶妙。これにより読者は飽きずに読むことができるし、少年漫画にありがちなバトル漫画へのシフトを防ぐことができる。シリアスとギャグの二枚看板は読み手にも書き手にも都合のいいシステムだ。

 シリアスパートももちろんおもしろいのだが、特筆すべきはギャグパート。この作品をここまでのヒット作に押し上げたのは作者・空知英秋氏の類稀なるギャグセンスによるところが大きい。後編へ続く。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)