昨年のM-1グランプリ覇者、NON STYLE(よしもとクリエイティブ・エージェンシー、以後ノンスタ)が今年もM-1へ参戦する意向を発表した。
M-1優勝後、ノンスタのメディア露出は確かに増えた。それは彼らからすれば天変地異レベルであったろうと思われる。しかし今年のお笑い界を席巻しているのは、はんにゃであり、オードリーだ。チュートリアルやサンドウィッチマンの大ブレイクを思えば実に慎ましいチャンプぶりである。
だから彼らは今年もM-1に参加する、いまいち売れなかったからまた出るのだ、などと揶揄する人々もいるであろう。しかしそんなわけはない。王者にとっては必然的に、他の出場者ではなく昨年の自分自身がライバルとなる。それは優勝できなかった場合、一年でのパワーダウンを周囲に印象づけることを意味するのだ。さらなる人気を得たいという欲望に見合うリスクではない。
井上は今回の参戦に関し『10年を経過すると出場できなくなるのでそれまではやっぱり出たい』とコメント。出られるものは出ておきたい、非常にわかりやすい理由であり、彼らが人気ではなく笑いに貪欲であることがわかる。
そして逆説的ではあるが、大ブレイクとまでいかない現状は王者のM-1において追い風となるのではないだろうか。
人気の絶頂期は芸人本来のおもしろさとは無関係に訪れ、すぎ去っていく。時の人を勝手に消費して勝手に飽きるのが大衆の常であるが、ノンスタはいまだ時の人ではない。世間的にまだまだのびしろがあるのだ。
昨年のM-1効果でおもしろいコンビであることは確実に浸透しているのに、目垢がついていない。これがうまく作用し、ノンスタ自身が渾身のネタを用意できれば快挙も夢ではないのではないか。そしてその果てにこそ大ブレイクが待っている、かもしれない。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)