1960年代の一大フォーク・グループであった、“PPM” こと「ピーター・ポール&マリー」。そのヴォーカリストで、スレンダーなボディとブロンドの長い髪で高い人気を誇ったマリー・トラヴァースが16日、白血病のため72歳で他界した。
60年の懐かしのポップスを集めたCDに、必ずと言ってよいほど収められている「レモン・ツリー」や「Where have All The Flowers Gone(花はどこへ行った)」はPPMの大ヒット曲。後者は優しいメロディとは対照的に、実は反戦ソングであった。
「花はどこへ消えてしまったの?女の子が摘んだわ。その女の子はどこへ?ある男のお嫁さんになったわ。男のその後は?兵隊となって戦地へ向かったわ。その兵隊は? 死んで墓の下よ。その墓はどうなっているの?すでに花に埋もれているわ。」と彼らは歌う。
「そして長い年月を経て、その花を今また女の子たちが摘んでいる」と歌詞は戻るが、作曲者のピーター・シーガーは、墓地の花を介して決して悲しい戦争を繰り返してはならないという思いを歌に託した。
反戦だけではなく、PPMは原発・原爆反対派のミュージシャンとして、世界各地で地道なコンサート活動を続けて来たが、そうした姿が高く評価され、1999年には「ヴォーカルグループ」の殿堂入りを果たしてしている。
しかしマリーは2004年に白血病であることが分かり、2005年は活動をキャンセル。2006年に骨髄移植を受けたが寛解には至らなかった。
それでも2007年になると北朝鮮による拉致被害者である横田めぐみさんの両親のために来日、収益は全て救出活動にあてて欲しいとし、「Song for Megumi」という曲を横田夫妻に捧げた。
2008年は穏やかな音楽活動を続けたが病状が悪化し、今年春には活動を停止、そしてこの16日、マリーは1991年に4度目の結婚を果たした夫のイーサン・ロビンズさん、娘のアリシアさん、エリカさんに看取られ、コネティカット州ダンバリー病院で静かな最期を迎えた。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)