キャバクラビジネスの世界で成功を成し遂げた輝咲翔さんの半生をもとにしたドラマ「帝王」。工場勤務やトラック運転手を経て、お酒を体質的に飲めないにも関わらず、夜の世界で成功を収めた輝咲さん。その成功の秘訣とは何だったのか、ドラマから探ってみた。
・秘訣その1:「他人に優しく自分に厳しく」
輝咲さんがモデルとなっている咲輝 凌(塚本高史)はとにかく他人に優しい。ホスト時代には、自分がNo1ホストになるために女性客に余分なお金を出させたくないと自らの貯金をはたいたり、親しくなった客のお店の人手が足りないとなれば出勤前にその店でウェイターを勤めたり。また、オーナーになってからも、不注意で店を火事で焼いてしまったホスト(小谷嘉一)を一言も責めずに逆に気遣い、店のキャバ嬢の誕生日には大きな花束をプレゼントする。そしてオーナーであっても、自ら買い出しに出たり、派手な車ではなくコンパクトカーに乗ったりと偉ぶることもない。
このような彼の姿勢がかけがえのない人脈作りの大きな助けになっているようだ。しかし、それを狙って計算してではなく、彼の人柄が自然にそうさせているので全く嫌味がなく、結果として多くの人を引き寄せている。
・秘訣その2: 「逆境に立たされたら発想の転換を」
咲輝は何回か逆境に立たされているが、その度に発想の転換をしている。自分が経営を仕切っていた店のオーナーが病気と借金で店を手放すと決意したとき、もうこの店を閉めなければならないかと悩んだが、結局、自分が店のオーナーになることで店を続ける。さらに、店が火事で焼けてしまい、ホストが何人も辞めてしまったときには、これを機会にホストの要らないキャバクラ専門の店へと方向転換。逆境やアクシデントにもめげずに、発想を柔軟にして前進する様子が見ていて頼もしい。
・秘訣その3:「人脈を上手に活かす」
親友(與 真司郎)に新しい店の経営を任せたり、自分の店で働くキャバ嬢(安達祐実)に1号店の店長を任命したり、咲輝は重要なポジションを他人に任せている。また、会社を興すにはどうしたら良いかビルのオーナー(竜雷太)に教えを請うたことも。「そんなことも知らんで会社を興すと言っていたのか」と半ば呆れられながらも、プライドを捨てて捨て身で向かってくる咲輝には、きちんとアドバイスしてくれる。仕事のできる人は特に、他人に重要な役割を任せるのが不安になることもあるだろうが、自分で作った人脈を信頼して上手に活かすのも才能のうちだろう。
ドラマを観る前は「夜の世界」の話ということで、華やかな世界の面白おかしい話かと思ったのだが、至ってマジメなドラマ「帝王」。不況のためビジネスにはなかなか夢を見い出せない近年だが、こんなときだからこそ、この咲輝の実話を元にしたというサクセスストーリーは爽快だ。そして、こんな上司となら一緒に働きたいと思える人ではないだろうか。モデルとなった輝咲翔さんは今も会社を運営しているようだが、そこで働いている人たちは日々、理想的な上司の元で満足しながら仕事をしているのだろうかと想像するとなんだか羨ましい。ドラマは終盤に近づきつつあるが、まだ彼のサクセスストーリーは続きそうだ。
(TechinsightJapan編集部 関原りあん)