「SaaSって言葉よく聞くけどASPと何が違うの?」こんな疑問の声が多くある。もっとも簡単に説明すればある程度決まり切った仕様のサービスをネット経由で使うのがASPで、業務に即したカスタマイズ性の高いサービスをネット経由で使うのがSaaSだ。
ところが導入しようとすると、「まず業務要件を定義します」というところから始まるため、時間も経費もかかってしまう。そうした敷居の高さを解消すべく、業務改善のアプリケーションを即日で利用できる新サービス「かんたんSaaS」がサイボウズから発表された。
本サービスは、同社の製品 「デヂエ」をSaaS事業用に改造した専用プラットフォームを使用して、デヂエのツール開発のしやすさとシンプルな使い勝手を両立させ、多品種少量販売ができる基盤を構築するものだ。
その基盤上で、ユーザーカスタマイズ不要で稼動するツールを提供するものだ。
オープン当初に提供を予定しているアプリケーションは以下の通りとなっている。
・顧客台帳
・商談報告書
・見積り依頼受付
・お問い合わせ・クレーム対応管理
・社員名簿
・日報
・報告書
・情報共有掲示板
・よくある質問
・勤怠管理
・感染状況確認
・売上情報
「カスタマイズ不要ならASPと同じでは?」という意見もあるだろうが、そうではなく、カスタマイズを前提とした汎用的なサービスの提供なのである。まずはSaaSに移行してみて、少しずつ業務に見合った形に作り上げていこうという試みにマッチしている。
90年代にERP(統合業務パッケージ)を導入して、組織風土に合わずにコストばかりかかったという経験のある企業は、それがトラウマとなってSaaSに対しても懐疑的な目を向けることが多いが、「かんたんSaaS」は、1アカウント500円という画期的な安さで導入できるサービスである。
「所有から使用へのシフト」という流れの中、パイロット的な導入を検討してみる価値はあるだろう。もちろん本格的なSaaS移行への布石として役に立つ。
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)