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(ジャンル:ロック)
「名盤」と言っておきながら、こう書くと怒られるかもしれないが、コアなビートルズファン以外には必要のないアルバムである。
あまつさえ初めてビートルズを聴くという人には薦めるべきではない。
それにもかかわらず、今回このアルバムを紹介するのは、ピュアな気持ちでビートルズを聴こうとする若いファンが、自称ビートルズ世代のオジサンになめられないようにという思いからである。
ビートルズのオリジナルアルバムは13枚しかない。
しかも1枚の収録時間が40分程度であるから、近年のアーティストのCD7枚程度のボリュームなので、その気になれば1日で聴ける。そして気に入った曲あるいはアルバムを何度も繰り返して聴いて楽しめばよい。
一方で「ビートルズアンソロジー」は、ジャズの世界ではおなじみの「巨匠の未発表音源集」である。
初期のカバーで「べサメ・ムーチョ」とか「ハレルヤ・アイ・ラブハー・ソー」などのクドい曲を演奏していたり、おなじみの曲のリハーサル模様が収められていたり、オリジナルアルバムを聴き込んだ人が聴くととても楽しめる。
ここで登場してもらうのが、自称ビートルズ世代の団塊世代の人々である。彼らはビートルズが来日した1966年には高校生くらいだから、その時の「雰囲気」はリアルに知っている。しかし当時真剣に聴いていたという人は稀なのだ。
あえて○○世代と命名するならば、加山雄三世代またはベンチャーズ世代と言ったほうが正確である。実際にそっちのほうが大衆的な人気があったのだ。
たまたまビートルズ活動時期に青春を過ごしたからといって、ビートルズのことを知っているわけではなく、知っている曲といえば「レット・イット・ビー」と「イエスタデイ」くらいという人も多い。
そういう人々が「俺たちビートルズ世代はなぁ」と昔話をしてきたら、「ビートルズアンソロジー1に入っている【ハレルヤ・アイ・ラブハー・ソー】のカバーがカッコよくて好きです」とでも言ってみると良いだろう。たいていはスゴスゴと引き下がるはずである。
もし、アンソロジー談義に乗ってくる人だったら、その人は本物のビートルズ世代であるから、ぜひ仲良くなって音楽談義をしてみると良いだろう。
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)