パソコンに限らず、初心者が何もわからないのは当然であり、それは恥ずかしいことではない。
しかし、初心者をおびえさせるような商品はあってはならないはずなのだが、パソコンの場合には依然としてその初心者脅しがまかり通っている。
今回はパソコンの周辺機器接続インタフェースの今昔と今後について考えてみたい。
Windows95がリリースされたころには、パソコンの周辺機器接続はその道の賢者にやってもらわなければできないものだった。
マウスとキーボードはPS/2ポートに、モニタはアナログRGBに、モデムはRS232Cポートに、プリンタはパラレルポートに、外付けのハードディスクやMOはSCSIにという具合だ。
特にSCSIはコネクタ形状がたくさんある上に、IDの設定やケーブル長の制約などをクリアしなければならず、敷居が高いものだった。
こうした状況を改善しようとして策定された規格がUSBである。これによってプリンタもマウスもキーボードも外付けハードディスクも同じケーブルで片っ端からつなげば使えるようになった。
そして今はどうだろうか、外付けハードディスク等の接続はUSBのほかに、IEEE1394(FireWire)とeSATAという規格が存在している。
LANの設定も、かつてはとにかくケーブルをつないでしまえば、自動的にIPアドレスが供給されるようになったのもつかの間、現在の主流は無線LANで、これをセキュリティまで含めてきちんと設定するのは、なかなか難しい。
サポート会社の出張設定を受けると数万円を払わなければならない。
モニターの接続も、今はVGA,DVI,HDMIという3種の規格が存在している。
マウスやキーボードは変わらないかと思っていたら、無線キーボード・マウスとBluetoothキーボード・マウスがあって、それぞれ設定が違う。
パソコンがコモデティになってからずいぶん経つというのに、なぜこんなにややこしいのかと言えば、理由は簡単である。
「機械いじりが楽しいという人々に訴求しないとパソコンが売れないから」である。
もちろん、様々な規格の性能競争があるわけだが、それをいち早く導入されても初心者は混乱するだけなのだ。
来年あたりから、USB3.0とBluetooth3.0のインタフェースを搭載したパソコンが出てくるものと思われるが、せめてあらゆる周辺機器の接続がこの2つの規格に集約されるようになれば、かなり風通しがよく、初心者にとってもなじみやすい機械になるであろう。
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)