writer : techinsight

【ドラマの女王】田中麗奈が明るいオタク女子に!?「派遣のオスカル〜少女漫画に愛をこめて」

NHK総合で放映中の「派遣のオスカル〜少女漫画に愛をこめて」。映画とCM中心に活動してきた彼女にとって、なんとNHK初出演のドラマだ。「SOY JOY」のCMでは、今年も豊川悦司とコミカルな演技を見せていた田中麗奈が、このドラマでは派遣社員であり、池田理代子作の漫画「ベルサイユのばら」に夢中の明るい”オタク”を生き生きと演じている。

同じく派遣社員が主人公だった人気ドラマ「ハケンの品格」(2007年)では、大前春子(篠原涼子)は派遣社員を積極的に選んでいた。派遣社員として働き、お金が貯まると仕事は一切しない。そして時期が来るとまた派遣社員として働くというスタンスだ。いつでも復職できるようになのか、助産師、ふぐ調理師など数多くの資格を持っていた。いわば派遣のスーパーウーマン的存在。

一方、「派遣のオスカル」の三沢勝子(田中麗奈)は事情が違う。少女漫画命で、出版社でマンガの編集をしたいと思いつつ、異なる業界で派遣社員として働いている。出版社の採用試験を受けてはみるものの、なかなか希望通りにはいかない。つまり消極的な選択だ。

そんな勝子が日々崇拝し、没頭しているのが漫画「ベルサイユのばら」。頭の中が何かの拍子にすっかり「ベルばら」の世界に入ってしまう。登場人物・オスカルのお気に入りの台詞「弾込め!進撃!」を唱えて、自らを奮い立たせ、普通では派遣社員という立場では諦めてしまうような、会社のやり方に「物申す」存在になり、会社に革命を起こそうとする。フランス革命に参加したオスカルなので、彼の精神を借りた勝子も勇ましいのだ。

憧れのオスカルになりきった、普段の彼女ならできないだろう行動は、一見、”オタクならでは”のようにも見える。しかし、こういうことは誰にでもあるのではないだろうか。もちろん憧れの存在は、マンガの中ではなく、実在の人物でもいい。イチローだって、自分の父親でもいいのだ。敬愛する人のようになろうと努力してみたり、その行動や精神を真似してみたり。あるいは自己啓発書を自分の指針にしたり、ビジネス書の著者を見習ったりする人もいるだろう。

ところで明るいオタク女子というと、中川翔子が挙げられるが、しょこたんが、マンガの話をしながら決め台詞とともにポーズをとるときも、スカシカシパンの話をするときも、話の内容がほとんど分からなくても、なんともかわいらしく微笑ましいと感じることがある。それは、話している彼女が高揚して生き生きとした良い表情をするからだ。自分のペットの話をしているとき、その人はとても良い表情をすると言われているように、自分の好きなものを話すとき、人は愛らしく幸せそうな表情になるのではないだろうか。「派遣のオスカル」でも夢中になって「ベルばら」の話をするとき、田中麗奈演じる勝子は実に生き生きとしてかわいらしい。

共演者では、派遣社員を見下す嫌味な社長御曹司を徳井義実が好演している。また偶然なのか狙ったのか、宝塚在団時代に実際にオスカルを演じていたという朝海ひかるが、女子社員の憧れの存在である商品開発部部長を演じているのも面白い。脚本は「ナースのお仕事3・4」の金子ありさが担当し、テンポが良く明るいドラマとなっている。

「派遣のオスカル」は全6回であり、残りあと3回。オスカルの心が宿った勝子がフランス革命ならぬ「会社革命」を起こせるのか、社長御曹司・正社員・派遣社員も会社はひとつになれるのか、そして勝子をめぐるライバルとなった2人の男性(社長御曹司・徳井と同じ課の正社員・佐藤智仁)との恋の行方…、今後が気になるところだ。「ベルばら」ファンはもちろんのこと、読んだことがない人も、一週間の疲れとともに帰宅した金曜日の夜、元気と活力をもらえるドラマである。
(TechinsightJapan編集部 関原りあん)