writer : techinsight

【お笑い峰打ちコラム】愛は芸人を救う

 珍獣ハンター・イモトの激走で今年も地球は救われた。その陰で、愛によって救われた芸人たちがいることをご存知だろうか。

 件の日、フジテレビ系「めちゃ×2イケてるッ!」では恒例のエスパー伊東によるあの企画が行われていた。しかし今回注目するのはそこではない。その翌週に行われた企画についてである。

 「フジサンケイお笑いレディスクラシック」、名前からもわかる通り、フジテレビ主催のゴルフ大会「フジサンケイレディスクラシック」のパロディである。本物のゴルフ場を舞台に、めちゃイケでおなじみの「オアシズ」大久保佳代子(プロダクション人力舎)から芸歴1年の「フォーリンラブ」バービー(ワタナベエンターテインメント)までバラエティに富んだ8人の女芸人たちがお笑いバトルをくり広げた。

 大がかりかつ上質なパロディの世界で火花を散らす女芸人たち。真剣勝負の体ではあるが相手を笑わせれば勝ちというルールゆえ、ゴールには必ず笑いがある。ふだん私生活を切り売りするようなトークで笑われることを余儀なくされている女芸人たちにとって、これほど愛を感じる企画がほかにあろうか。

 番組からの愛を誰よりも享受できたのが「アジアン」馬場園梓(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)。2005年にはM-1グランプリ決勝進出を果たすものの全国区ではいまだマイナーであり、他番組ではすっかりグラビアアイドルを忌み嫌うイタイ女といったイメージが染みついてしまっている。そんな馬場園がふだんは見せることのない芸人の顔でネタを披露し笑いを取るさまは新鮮であり、彼女自身のイメージアップにもつながったに違いない。

 「ハリセンボン」箕輪はるか(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)も素晴らしかった。ふだんは相方の陰に隠れてしまいがちだが、自身のキャラクターと周囲の物をブレンドして瞬時にボケを生み出す笑いの瞬発力は目を見張るものがある。箕輪がこれほどの輝きを見せたのは100万円を獲得したイロモネア以来ではないだろうか。

 他局某番組とほぼ同じメンバーを集めていながら、なんと質の高い企画であったことか。女芸人たちに笑われるのではなく笑わせる場を提供し、秘められたポテンシャルを引き出しためちゃイケ。これが芸人に対する愛でなくてなんであろう。

 めちゃイケが10年以上にもわたりお笑い番組のトップを走り続けているのは、芸人への、ひいてはお笑いへの愛ゆえなのだ。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)