writer : techinsight

【お笑い峰打ちコラム】芸人バンドは歌番組の夢を見るか

 フジテレビ系で月曜深夜に放送されている「ふくらむスクラム!!」。オレンジサンセット、少年少女など超若手芸人6組によるバラエティ番組だ。この番組から飛び出した芸人によるバンド「ふくらむバンド」がちょっとした注目を集めている。

 メンバーはVo.「ニッチェ」江上敬子(J・D・W)、G.「かまいたち」濱家隆一(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)、Key.「かまいたち」山内健司。濱家がバンドメンバーを募集したところ、どうみてもバンドとは縁がなさそうな主婦・江上とさえない中年男性・山内がやって来てしまった。濱家は早々に2人を見限ろうとするが、それぞれの歌とキーボードの腕にほれ込み、バンドを結成する――というコントから生まれたバンドである。番組内で2度、3度とコントを重ね、ついにはオリジナルソング「ナツノヒ」を発表した。

 音楽に明るくない私にはバンドの上手い下手などわかりはしないが、江上の存在感はなかなかのもの。大きな体を揺らし、伸びのある声で10代女性の甘酸っぱい恋心をせつなく歌い上げる様は芸人とは思えないほど堂に入っている。歌詞はさわやかで大人が耳にしても共感できる内容となっているが、ラストに思わぬオチが。しかしそれも行きすぎることはなく、ネタやギャグに傾倒しがちであった従来の芸人ソングとは一線を画している。

 ナツノヒはフジテレビの着メロサイトで2週連続でダウンロード数1位を獲得。ふくらむバンドはこの曲を引っさげて、お台場合衆国でライブを行ったり「キャンパスナイトフジ」に出演したり、本当に少しずつではあるが活躍の場を広げている。このままいけば音楽番組出演も夢物語ではないかもしれない。

 番組発信の芸人の音楽活動といえば古くはポケットビスケッツ、最近では矢島美容室が思い浮かぶが、それらに比べてふくらむバンドは番組、芸人ともに元々の知名度が低い。バンドが有名になることで芸人としての知名度も上がる可能性はあるが、芸以外でスタートダッシュを切ってしまうと一発屋で終わる可能性が格段に高くなる。ふくらむバンドが有名になるか、ニッチェとかまいたちが有名になるか、どちらが先かで彼らの芸人人生は大きく変わってくることになるのかもしれない。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)