巷を大きくにぎわして、自動車販売促進に一役買っている、通称「エコカー減税」であるが、意外と知られていない事実があった。それは対象車であっても、福祉車両になっただけでその対象から除外されていたのだ。なぜ?という声が聞こえてくるのも当然であるが事実である。いったいなぜそうなったのだろうか?
国内各社がラインナップに掲げる福祉車両は、自動車本体はもちろんそのメーカーで造られているが、その架装部分は他社で造られているのだ。要は福祉車両は初めから改造車扱いになっているのである。
そのため登録時は陸運支局に車両を持込んで登録をしなければならないので、これまで公式な燃費データが存在しないということから対象外とされていた。
というのだが、車両重量が何百キロも重たいとか、エンジンまで改造してあるというわけでないのに、公式な燃費データが存在しないという理由はいかがなものか。
永田町のドタバタ劇の中で、支持率アップのもくろみも含まれて発足した本法案。そういった細かい点まで煮詰めている時間がなかったというのが本音ではないだろうか?
しかし、社会的弱者が利用する物に対してのこの対応はいただけない。
今回これを受けて「特定改造自動車のエネルギー消費効率相当値の算定実施要領」なるものが制定された。これにより改造車であっても燃費値を算出できるようになったというのだが、できるものならどうして今更なのだろうか。
日産には、関連会社に株式会社オーテックジャパンという会社がある。同社は日産の「ライダー、アクシス」といった非常に人気の高いモデルを製造、展開している。また、日産の福祉車両「ライフケアビークル(LV)」も一手に引き受けている。
これにより、日産のラインナップでは9車種39仕様がが新たに減税の対象となったわけである。そしてこれは4月までさかのぼって適用されることとなった。
さかのぼって適用されることはありがたいが、少なからず今回新たに対象になった車種の購入を考えながら、当時は対象外だったため他の車を購入した消費者もいないわけではないはずである。
その点では多少不公平感は感じずにはいられないが、いずれにせよ福祉車両が減税対象になったという事実は、遅かれ速かれ喜ばしいことである。
(TechinsightJapan編集部 ”自動車魂世界一”car journalist 木下)