米国発!Breaking News

writer : techinsight

【米国発!Breaking News】女性牧師の地位を認めない宗派と減少していく信者数の現実

Southern Baptist Convention/南部バプテスト連盟(以下SBC)はキリスト教根本主義を唱える保守派であり、プロテスタント系ではアメリカで最大の宗派である。しかし女性の社会的立場を認めず、現在4万4000の教会に指導者として従事する女性は100人にも満たない。信者の一人であった元大統領ジミー カーターが9年前に脱会した時の理由を”宗派の女性の立場、待遇の仕方を受け入れられない”と話している。

誰もが牧師として従事できるとしているが、もし女性を採用するならばSBCからの除名を覚悟しておかなければならない場合がある。SBCの主任牧師リチャード ランドは「男女共に教会に奉公する義務を与えられている。しかし聖書によって教会の官職は適任と認められた男性のみと限られている。」と主張している。SBCは”女性は教会でも家でも男性の上に立つべきではない。”という使徒パウロの書簡を2000年に改めて肯定している。

ジュリー ラッセルがテキサス州ワコのカルヴァリーバプテスト教会で主任牧師として初の礼拝の儀を行うことになった日に息子を連れて教会へ向かうと、反対派の信者達が待ち受けていた。女性を主任牧師として受け入れたことに抗議をする人々の前を息子の手を引きながら歩いていると、当時7歳の息子が「どうしてこの人達はママを”イゼベル”と呼ぶの?」とラッセルに尋ねたという。イゼベルとは偽り預言者、教会への敵対者など数々の悪名のある女性で、ヨハネの黙示録では”淫婦”として描かれている。

SBC内で女性の社会的立場を認める声もある。オクラホマ州イニッドにあるSouthern Baptist Megachurchの牧師ウェイド バールソンはSBCは「神の言葉を誤って解釈している。誤訳から導かれる結果は非常に大きい」と言う。バールソンは女性を平等に受け入れるキリストの教えを無視し続けるならば、宗派はしぼんでゆくだけだとSBCの今後を予測している。また女性の地位を考え直す運動が連盟内で始まっていることも示唆している。

テキサス州フォートワースにある西南バプテスト神学校でシェリー クラウダはヘブライ語を教えていたが、SBC元理事長ペイジ パターソンが神学校に運営に携わることになって間もなく解雇された。パターソンからの解雇理由は「女性は神学を男性に教えるべきではない。」というSBCの信条だった。その後クラウダはバプテスト系ではない他の大学で問題なく教師の職を得ている。西南バプテスト神学校では女性のセミナー研究生の為に新しい学科を設け、家政や自宅学習などを科目にしている。

人によって言葉の解釈が変わるのは必然なことである。神のみぞ知る言葉の意味を探る討論に終わりはない。
(TechinsightJapan編集部 村居唯衣)