今回の【ドラマの女王】は江口洋介、松嶋菜々子主演の『救命病棟24時』。大人気、第4シリーズでありながら、記者初見の『救命病棟24時』。思い切ってチャンネルを合わせてみたら、決して米ドラマのパクリでも、押し付けがましいドラマでも無かった。「医療の崩壊は厚生労働省の責任!」ってハッキリ言っちゃうところはすごい。国に媚びてないのね。
“ダサ母”になって正解の松嶋菜々子演じる小島楓先生は、専門外の急患の子供を受け入れて死なせてしまい、遺族から訴訟を起こされてしまう。「責任感が強い医師ほど医療訴訟はおこされやすい。」という、医局長・澤井(ユースケ・サンタマリア)の言葉がしみる。
バイクで転倒し、肋骨や鎖骨に複雑骨折(全治2ヶ月)の重傷を負った江口洋介、痛いのガマンしてアフリカ帰りの進藤先生を演じる。あまりにハードな救命医ぶりに、まわりの先生グッタリ。
そんな中、清く頑張っているのが、新米看護師の千夏(北乃きい)。みんなのオアシス的存在に。その指導をする“おデブの師長さん”の 山野海、この人やっぱり舞台女優だった。
現代の大問題である、“救急医療”のあり方を、目を背けてはいけない現実と共にリアルに訴える貴重な作品。救命病棟なのに急患の受け入れを制限せざる得ない現実(受け入れてもらえない患者は死亡率高し。)、スタッフの疲弊、絶望と希望、命を救う仕事の尊さ、など『コード・ブルー』
や『ヴォイス』には感じきれなかった、強い力を持つ大人のドラマである。一生懸命な医師とスタッフたちを見ていると、何か無性に誰かの役に立ちたくなる。幸い視聴率も高く、このドラマがきっかけで何かが変わればいいのだが。
米ドラマ『ER』を見て、救命医療体制を公約し、さんざん都立病院を泣かせては飽きたらほったらかしでオリンピック誘致に夢中なアノ人や、こんな時代に於いても甘い汁を吸い続ける天下り官僚(彼らは絶対に無くならない。)。戦後の官僚たちがカッコよく活躍するアノドラマを見て、うんうん頷いている場合では無いのだ。
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)