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【お笑い峰打ちコラム】芸人青田買い 少年少女

 オリエンタルラジオ、はんにゃ、フルーツポンチと、NSC東京10期生は大豊作。そして今、あらたにブレイクしそうなのが「少年少女」(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)である。

 少年少女はツッコミの坂口真弓とボケの阿部磨有香からなる女性コンビ。どちらも中性的な風貌であり、そのコンビ名とあいまって、初見の印象はアンガールズに近い。ネタも彼ら同様、シュールさが売りである。

 少年少女のもっとも有名なネタが“OLクイズ”。パイプいすを向かい合わせに並べて座り、クイズと称して言葉遊びをくり広げる。独特の言葉づかいでぼそぼそと会話を続ける様は非常にシュールなのだが、妙なリアリティがあり、彼女らのようなOLが実際にいそうな気がしてしまうのだ。

 女芸人界では一般よりも劣っている身体的特徴を笑いに変えるやり方が、平成のこの世にあってもいまだ王道である。日常生活では女性の容姿をあれこれ言うことはほぼ禁忌となっているため、芸人という夢の世界の住人がそれを犯せば簡単に笑いは取れてしまう。ブスやデブといった単語は、要するに鉄板なわけだ。

 確実ではあるが安易ともいえるこの手法は、多くの女芸人をただの笑い者に変えてきた。不細工な女性を嗤う残酷な大衆心理が女芸人界をつつんでおり、女芸人たちもそれに甘んじているように思う。

 しかし少年少女は容姿には頼らない。他の女芸人たちを尻目に、ネタで直球勝負を続ける様は女芸人界のジャンヌ・ダルクのごとしである。この痛快なやり口は彼女らがいまひとつメジャーになりきれていないゆえなのか。もし売れてしまったら彼女らもまた、女芸人をかき集めて嗤うだけのプログラムに参加させられるのだろうか。

 容姿が武器の芸人はごまんといる。少年少女には最後まで、ネタで勝負し続けてほしい。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)