writer : techinsight

【お笑い峰打ちコラム】“女前”の代償 それでいいのかクワオハ小原

 クワバタオハラ(ホリプロ)。結成9年目を迎えた女性お笑いコンビであり、くわばたりえの妄想ボケに小原正子が鋭くつっこむ漫才が十八番だ。クワオハ=下ネタというのはあくまで側面の一つであり、それがすべてではない。しかしながら、そんなイメージを持っている人も最近では減ってきているであろう。それほどまでに彼女らはネタ以外の部分にスポットが当たりすぎている。

 くわばたは昨年、コアリズムによって劇的な体型改善を行い、さまざまなメディアにダイエット指南役として登場した。そして4月21日、テレビ番組内で当時の交際男性からプロポーズを受け快諾。そんな相方の成功をよそに、小原は自らの破局を発表した。コンビ内格差が思わぬところで顕著になったのである。

 しかし小原、転んでもただでは起きない。破局を発表した日の小原のブログ「女前」にはそれまでの数倍のコメントが寄せられ、テレビなどでも注目度が一気に高まった。よくよく考えてみれば、相方は結婚、自分は破局というのは芸人としておいしすぎる。一人の女性としてはさぞ惨憺とした状況であるが、女芸人だからこそ不幸を日々の糧に変えることができたのであろう。

 小原は女芸人としてはなかなかの美形であり、比較的“勝ち組”とされてきた。その過去があるからこそ不幸がいいスパイスとなり、それでも前向きに生きる姿が“女前”だととらえられているのであろう。相方の幸せと自らの不幸を対比させ、それを切り売りする姿は涙ぐましい。

 女芸人は売れてからネタをしなくなるまでの期間が短い。お笑い以外の一芸があればそこをプッシュされ、なければ笑われるだけのヨゴレとなってメディアに消費される。小原の場合、以前はフードファイター的な活動もしていたが、現在はもっぱら不幸な女の役回りだ。過去の恋愛話まで引きずり出され、より不幸なイメージが強められている。

 しかし仮にクワオハが現在でもテレビでネタを披露するような芸人であったならば、小原は“クワオハじゃない方”になっていた可能性は高い。それを思えばこの状況は、小原にとってそう悪くはないものか。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)