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「社内浄化のはずが・・」企業の内部通報窓口。その利用実態。

企業の「浄化」に一役買う内部告発や、それを支援する内部通報窓口。果たしてどれほどの企業に設置されているのか。気になる実態調査が行われた。

法人およそ300社に対して内部通報窓口サービスを提供している、不正リスク対策の株式会社ディー・クエストは、国内の全公開会社およそ3900社を対象に内部通報窓口の設置状況に関する調査を行った。調査は昨年12月から今年3月までの期間に電話調査にて行われ、43.8%にあたる1892社から有効回答を得た。

その結果、回答のあった全公開会社のうち96.1%が内部通報窓口を設置済みと回答した。内訳をみると、一部上場企業の96.9%、二部上場企業の96.5%、ジャスダック公開企業の94.2%およびマザーズ、ヘラクレスなど新興市場の94.7%が窓口を設置済みだという。これを業種別に見ると、食料品が98.8%、銀行業で98.4%、機械が97.7%、電気機器で97.3%、建設業で96.0%、不動産業で94.4%、サービス業が95.5%、化学が92.3%となっている。

また、「窓口を社内のみならず、弁護士事務所や専門会社などの社外にも設置している」と回答した企業は、全体の54.0%に上っており、内閣府国民生活局が2007年に行った同様の調査結果の47.5%という数字と比べると、自社の内部通報窓口の見直しを進める上で、社外窓口の設置をする企業が増えてきていることがわかる。

さらに、社外窓口を設置していると回答した886社のうち、13%にあたる115社は通報受付の専門会社を利用しており、前出の2007年の調査に比べ、専門会社を利用する企業が増えていることが明らかになった。

一方、今回のヒアリングの中では、社内に内部通報窓口を設置している場合、会社の規模に関わらず1名から4名が兼務で通報対応しているケースが殆んどであるという実態も明らかになった。

調査を行った株式会社ディー・クエストは今回の結果について、企業の内部通報制度導入は進んでいるとした上で、その利用状況の実態は企業によって温度差があると指摘している。

なお、株式会社ディー・クエストでは、匿名の通報者と双方向にコミュニケーションが取れるウェブ通報システム(特許第4059843号)をおよそ300社に提供しており、今回の調査結果を公表するとともに、このディークエスト・ヘルプライン導入を検討する企業に対して、9月までの申し込み限定で3ヶ月間の無料提供サービスを行うという。
(TechinsightJapan編集部 鈴木亮介)