突然の妊娠発表で話題を呼んだ倉田真由美氏。ワイドショーやバラエティ番組での活躍も増えているが、本業は漫画家である。倉田氏が世に出るきっかけとなったのがSPA!で連載中の「だめんず・うぉ~か~」だ。
だめんず・うぉ~か~は男を見る目がない女性たち“だめんず”の男性遍歴をユーモラスに描いたコラム漫画。連載期間はすでに9年を超え、コミックスは11巻まで発行されている。一般的な漫画ならばこの2つは人気のバロメーターでしかないが、この作品においてはもう一つの意味を持つ。それほど膨大な数のダメ男が、そしてそれとほぼ同量のだめんずが世に存在しているということだ。
この作品にはさまざまなタイプのだめ男が登場する。浮気、暴力、借金の三本柱を軸とし、虚言癖、ストーカー、極度の潔癖症、薬物中毒、ギャンブル中毒、etc、etc……。まさにダメ男の宝石箱、ダメ男の万国博覧会、ダメ男の百鬼夜行だ。
この作品にはダメ男に不幸にされた女性たちの自虐的な暴露トークがずっしりと詰まっている。ダメ男被害に遭ったことのあるだめんずはそれを読んで共感したり、下を見ることで安心したりできる。非だめんずにとっては対岸の火事として楽しめるであろう。コミックスにはダメ男への対処法や離婚ノウハウなども掲載されており、脱だめんずにも役立ちそうだ。
ダメ男には定義がない。この作品に登場する女性たちのほとんどが言うのは、男が問題行動を起こしても、恋愛感情が高ぶっている時はさほど気にならないということ。警察沙汰や別れを経てダメ男であることに初めて気づかされるというのだ。
つまり、恋愛関係が続いている間は当の本人はおろか、女性も愛する人がダメ男だとは気づかない。この事実はいまだ無自覚な潜在的ダメ男の存在を示唆している。
私はこの作品が男性にも人気があるということにそら恐ろしいものを感じる。自分がダメ男かもしれないという自覚が少しでもあれば、男性の目線からはとても楽しめる内容ではないように思うからだ。自らの愚行を鏡に映してみることは耐えがたい羞恥であり、屈辱である。きょとんとした顔でモニタの前にいる男性に問おう。あなたは本当にダメ男ではありませんか?
だめんずだって泣き寝入りばかりではない。訴訟や暴力でダメ男に一泡吹かせる女傑だって少なからずいるのだ。あなたがのん気にこの作品を読んでいる後ろで、女が刃物を手にしているかもしれない。無自覚なダメ男予備軍たちよ、ゆめゆめ油断なされぬよう。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)