writer : techinsight

【お笑い峰打ちコラム】激化する賞レース コンテスト×コンテスト

 ニコニコ動画を使ったお笑いコンテスト「ニコ-1GP」が行われる。予選の模様はニコ動で生放送され、ユーザーのコメントにより決勝進出者が決定。すでに大阪予選は終了し、「さかなDVD」「ビタミンS」が勝ち残った。決勝戦では彼らに加えて11日に行われる東京予選の覇者2組と、シード出演の芸人たちが火花を散らす。決勝の舞台はLIVE STAND 09、もちろんニコ動でも生放送される予定だ。

 お笑いの本場・大阪では、古くからテレビ・ラジオ局主催のお笑いコンテストが数々行われてきた。それを全国区に引き上げたのが「M-1グランプリ」、1000万円という高額賞金と華やかなショウアップで話題を呼び、いまでは漫才の権威ともいえる大会となっている。その後、ピン芸を競う「R-1ぐらんぷり」、コント師の祭典「キングオブコント」が誕生し、ほぼすべてのお笑い芸人にとって目標となる大規模なコンテストが出そろった。

 そこに彗星のごとく現れたのが「S-1バトル」。総額2億円超の賞金、おもしろければなんでもOKという間口の広さ、月間チャンピオンを小出しに発表するスタイルで瞬く間に定着した。

 すでに過渡期のお笑いブーム、多方面をケアする賞レース、もはやこれ以上はないだろうという中、新たなコンテストとして名乗りを挙げたニコ-1GP。一体どのような大会となるのであろうか。

 ニコ動はお笑い芸人からすればアウェーである。わざわざ芸人がおもしろいことをしなくとも、笑える動画があふれているからだ。そんな中、ニコ-1GPが動画をUPしてそれを審査させる方式を取ったとすれば、非常にお寒いことになることが予想される。ステージを生放送するアイデアは良策といえよう。それでも成功する可能性は今のところ未知数といわざるを得ない。

 このニコ-1GP、出演するのは超若手ばかりで、賞金はニコニコにちなんだ25万2500円。ドラゴンボールのベジータに扮しネタを披露する「R藤本」や、エヴァンゲリオン漫才の「桜」など、ニコ動ユーザーを意識した芸人の出演も示唆されている。このことからもM-1やR-1のようなスターへの登竜門ではなく、お祭り色の強い大会となりそうだ。

 M-1やR-1は確かにおもしろい。が、真面目すぎる。意気込み、誓い、悔し涙、ネタよりもむしろ舞台裏にスポットを当てたがるドキュメンタリー番組のような仕上がりには食傷気味だ。ニコ-1GPはそんなものとは無縁の、花火のようにぱっと咲いてぱっと散るような、楽しい大会になることを期待する。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)