writer : techinsight

【ドラマの女王】“美女”選び放題、草なぎ剛。多角経営ドラマ。『任侠ヘルパー』

今回の【ドラマの女王】は、復帰後初の草なぎ剛主演ドラマ。『任侠ヘルパー』(フジテレビ系)。まずまずの好スタートを切った初回の翌週は、名優・津川雅彦が、やっかいなカラテ爺さんに扮し「老い」、「死の恐怖」、「生きる希望」を見事に映し出し感動を呼ぶ。このドラマは放送2回ですっかり、今後も期待できる“優良ドラマ”の位置を世間に獲得。それには、ただ単に豪華なキャストを集めた訳ではない綿密な計算がある訳だが、まるで東京○○ランドに迫る『任侠ヘルパー』のマルチな多角経営ぶりを紐解く。

東京・巣鴨の地蔵通り商店街入り口にデカデカと、パンチパーマの草なぎの看板を掲げるドラマPRの看板。なるほど、『任侠ヘルパー』は、主演こそSMAP草なぎ剛だが、その勤め先は老人介護施設「タイヨウ」。地蔵通りを行く老人たちの最大の関心事である「介護」を真剣にとらえた物語であり、暴力団公幹部争いの為にヘルパーとして働く主人公・翼彦一(草なぎ剛)の親分役には、「暴れん坊将軍」松平健の特別出演。第一話ゲストは、池内淳子、第二話ゲストは、津川雅彦と、往年のスターたちも登場し、おじいちゃん、おばあちゃんが大変楽しめるドラマになっている。巣鴨の看板はターゲットにあっている広告なのだ。

しかし、「不良っぽい男さしさ」(ヤクザだけど)も見せる草なぎの魅力に新たに萌えたアラフォーたち、その他若い女子を釣る為に出演している山本裕典や向井理、ジャニーズの後輩・薮宏太(Hey! Say! JUMP)の投入も忘れない。さらに、こども店長(加藤清史郎)を散らすことで、小学生にまで見てもらおうというあざとい『任侠ヘルパー』。『MR.BRAIN』のキムタクわっしょいも真っ青の「草なぎわっしょい」ぶりである。

そして、取り残された男性視聴者の為に仲里依紗、黒木メイサ、夏川結衣とタイプの違う3人の女性キャラを「色男・草なぎ」に絡ませて、無意識のうちに恋愛ゲームを展開している。ここで注目なのは、若く優しいヘルパーの仲里依紗は“聖女”キャラ、女ヤクザの黒木メイサは、“純情小悪魔”キャラ、冷徹な実業家の夏川結衣は“女王様系熟女キャラ”とまるでエロゲーの登場人物のように男が喜ぶキャラを揃えているところだ。これでこのドラマを見る「ゲーム脳」をした若い男性たちは、自分を草なぎ演じるヤクザの翼彦一に投影させ、仲里依紗、黒木メイサ、夏川結衣と「あんなことやこんなこと」を頭の中で展開できる仕掛けになっている。
すべての世代や性別を越え、視聴者の満足に答える『任侠ヘルパー』。まさに東京ディズニーランドや、エイベックス、に近いマルチな多角経営ぶりである。
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)