writer : techinsight

【ドラマの女王】不思議いっぱいの小泉Jr. 劇場。『コールセンターの恋人』

今回の【ドラマの女王】は、小泉孝太郎主演『コールセンターの恋人』(テレビ朝日系)。かつて伝説のヘンテコ通販ドラマ『ツーハンマン』(中村俊介主演)を世に送り出したテレ朝ならではの、テレフォンショッピング系裏方ドラマ。『ハケンの品格』や『OLにっぽん』の中園ミホを脚本のひとりに迎え、毎週コールセンターで起こる“奇想天外”な出来事を「人畜無害」な孝太郎クンとミムラ姉さんが繰り広げるという何とも不思議いっぱいの「小泉Jr劇場」。でもなぜ今、孝太郎が主役なの?

ABC朝日放送制作の、いまいち小粒なキャストによる『コールセンターの恋人』。主演の小泉孝太郎に大して華がある訳でもなく、『銭ゲバ』(日本テレビ系)のイメージがまだ強いミムラに色っぽさも期待できない。この二人以外にも『瞳』(NHK)の安田顕だとか、『ありふれた奇跡』(フジテレビ系)の松重豊とか実力派・中島ひろ子なんか、出てきてウレシイのはマニアな記者だけじゃないの?といった渋めのキャストが目立つ。でも脇には期待できる。

東京の本社から飛ばされて、海辺の田舎町にあるコールセンターにやってきたサラリーマンの都倉渉(小泉孝太郎)は、「都落ち」のレッテルを貼られ自らもコールセンターでの仕事に身が入らない。そんな渉に、クレーム処理のスペシャリスト青山響子(ミムラ)や職場の仲間は冷ややか。仕事初日、渉がたまたま取った電話のクレーム客はとんでもない状況下にあった・・・・・。
仕事サボって私用電話とか、渉のウザい性格が本来の小泉のイメージに合わない。「高枝切りバサミで鉄の“看板”が切れない。」などいう、自分勝手な通販の客のクレームにもイライラ。記者も昔バイトした事があるが、狭い部屋で電話とPCに顔を突き合わせ、お客の苦情を聞くコールセンターはつらい職場のように見える。せっかく一日終わった夕飯時にこんなドラマ見たくないなあ。

しかし、見ていて“ツラい”ドラマかと思ったらそうでもなく、以外に面白い。最初イライラさせていたのは、コールセンターにやって来た渉の気持ちを表わしていたようだ。ドラマが進むにつれ、電話の向こうの客の声に熱心に耳を傾ける響子(実際の人間との関わりあいは苦手。)だとか、やさしい同僚たちとか、登場人物のキャラがはっきりしてきた。
海沿いにあるコールセンターものんびり。オシャレな都会ロケのドラマばかりでは疲れる。これは見ていて心地良い。

急に登場した徹子ともう1人の“見せキャラ”、カリスマ・ショッピングナビゲーター 南極アイス(名取裕子)。う~ん、名取さんって何歳か分からないけど、いつまでもパワフル。『歌のおにいさん』の“元高松塚歌劇団キトラ組”歌のおねえさん「美月うらら」を演じた片瀬那奈がなんか霞んじゃう。彼女がやいのやいの言う中、TVのニュースでは民家に立てこもった高枝切りバサミを買った客(小倉久寛)の姿が。なんと家庭崩壊した理由が、おなじみ銀行による「貸しはがし」。WOWOW『空飛ぶタイヤ』から『スマイル』(TBS系)を経て、テレ朝に着地。制作サイドよ、他の理由も考えてくれ。

騒動が終了して、みんなで海でバーベキュー!いいねえ。夏だし。
キャストが小粒でストーリーに突っ込みどころが多く、肝心なドラマのツメさえもユルメな「小泉Jr不思議劇場」の、『コールセンターの恋人』なのではあるが、お父さんが元総理なのでセキュリティが大変でなかなか海外旅行にも行けない小泉孝太郎に、ひと夏のバカンスをあげてもいいかな。
ちょっとそんな風に考えてしまう、夏ボケしたドラマだ。
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)