1970年、ロンドンのホテルの一室で天才ギタイリストのジミ・ヘンドリックス(以下ジミ・ヘン)は、デビュー後たった4年、まだ27歳という短い生涯を突然閉じてしまった。当時ジミ・ヘンのローディー(巡業における楽器の手配、輸送、セッティングなどを管理)を務めていたジェームズ・ライト氏は、今月発売の自伝、『Rock Roadie』の中で、ジミ・ヘンの死は当時のマネージャーによる保険金目的の殺人であったことを明らかにした。
その著書の中でライト氏は、当時のマネージャーであったマイケル・ジェフリーが、ジミ・ヘンの死から1年経った頃、彼を殺したのは実は自分であったと青ざめた顔で告白してきたと記している。
クビになりそうな不安と怒りから、自分を受取人としてジミ・ヘンの命に200万ドルもの保険をかけていたというジェフリーは、ある夜、モニカ・ダンネマンという女性とジミ・ヘンが宿泊するロンドンのホテルの部屋に訪ねた。そこでジェフリーは、睡眠薬をゴッソリと寝ているジミ・ヘンの口に詰め込み、さらに赤ワインをボトル2本分を一気に流し込んだというのだ。
当時ジミ・ヘンとジェフリーについては、人間関係がうまく行っていなかったことは周知の事実であり、ジミ・ヘンが水面下で元のマネージャーであったチャス・チャンドラーに、再び自分のマネージメントをしてくれるよう頼み込んでいたことも分かっている。
検視の結果、睡眠薬のバルビツールの中毒症状と吐瀉物の誤飲が死因と推測されるという発表がなされ、一緒にいたモニカ・ダンネマンが、大量のワインと吐しゃ物が散乱している状況から、長いこと疑いをかけられた。
だがその後、デビュー後あっという間にマネー・メイカーとなった天才ギタリストのジミ・ヘンを、マフィアが支配したがっていたことが分かり、マフィアによる暗殺説に流れが変わっていた。
ただし、今まさに殺人容疑がかけられるべきマネージャーのマイケル・ジェフリーも、実はすでにあの世の人。その告白の2年後に、飛行機事故でフランスで亡くなっている。相変わらず真相は闇のままのようである。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)