writer : techinsight

愛のないSEXは是か?非か?リアルに“乱交パーティ”を再現した話題の舞台。 

乱交パーティー摘発「これ犯罪なの?」疑問相次ぐ(19日 提供:J-CASTニュース)というニュースに衝撃が走った。仙台市で“セックスがしたい”数組の男女が交流を深めるという、「大人の趣味の会」の現場に警察の手が入り、パーティの為にマンションの一室に集まった客と、主催側の男女の計8人が逮捕された。ここで「乱交パーティー」は“趣味”か“売春”か?の問題に、多くの人の関心が寄せられているが、数ヶ月前こんな状況をリアルに再現したオドロキの舞台が上演されていた。

いわゆる「乱交パーティー」をリアルに再現した人気の舞台は、今年2月に東京・新宿で上演された。今話題の劇作家・三浦大輔の主宰する演劇ユニットポツドールの『愛の渦』である。

『愛の渦』は「二階建ての一室」に集まった様々な男女が、セックスの相手を交換しながら「性の快楽」を確かめ、男女間や同性同士の“インスタント”な「愛や憎悪」を繰り広げる物語。タオル一枚を体に巻いた出演者たちが、時には肌をさらし“鋭い会話”をぶつけ合う。しごく下世話な作品に見えるが、第50回岸田國士戯曲賞を受賞している傑作だ。

この作品を執筆する為に三浦氏は実際に「乱交パーティ」が行われている現場に足を踏み入れたという。(参加したかどうかは不明。)パーティーに躊躇する女性客を、「何が目的でここに来たたの?」と説得する店長の口車や、雑に転がるお菓子や飲み物、コンドーム着用の義務やアドレス交換禁止に至る文言まで、リアルなセリフや描写は実際の現場から飛び出したものだという。

こういった会や、出会い系などに飛びつくのはやはり「モテない男性であり」、セックスにおいて危険を伴う女性の参加者は少ない。てっとり早く性欲を満たしたい男性の負担はやはり高くなり、そこで商売が成立するのである。例外を除けば「エッチな女の子が集まる大人のパーティー」はほとんどが幻想で、モテない男たちはいい“カモ”になる。

『愛の渦』のラスト、「快楽を求める大人のパーティ」に毎日通ってくる常連客の女性(江本純子)の存在が、「モテる、モテない、セックスしたい」などいままでの劇の感情を吹き飛ばすような“辛い現実”を見せつける。

いわゆる「大人の趣味の会」の“仕組みを”浮き彫りにした、今回の逮捕騒動、もう一度記事をよく読んでみると、いろいろな事が分かる。

“めくるめく快楽を求めて?”集まった女性客がいたかどうかは別として、客と戯れた声がうるさくて通報を受けた女性は、この店の店員。その他に“ヘルス嬢も”3人スタンバイしている。「個人的な趣味」と擁護される“乱交パーティー”の実態は明らかに風俗だった。
それが世間の仕組みである。

めったに見る事のできない「乱交パーティー」の現場を再現した『愛の渦』の舞台の様子を、ポツドール『愛の渦』劇評(webDICE)で覗いてみよう。愛のないセックスはお芝居の中だけで十分である。
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)