writer : techinsight

【お笑い峰打ちコラム】脱深夜成功か 磐石のレッドシアター

 すっかり水曜夜の顔として定着した感のある「爆笑レッドシアター」(フジテレビ系)。深夜からプライムに進出するにあたりさまざまな危惧もあったが、現在のところはまったく申し分がない。

 そもそも深夜帯からゴールデンタイム、またはプライムタイムへの移行により、特にお笑い番組がつまらなくなるのはなぜだろうか。私見ではあるが述べてみたい。

 深夜は視聴者の絶対数が少ないため、テレビ局にとっては利益が上げづらい。良くも悪くも期待されない時間帯であり、そのため制作サイドは思い切ったことができる。斬新な企画や才能を秘めた原石を試すのにうってつけであり、時にそれは素晴らしい番組を生むことにつながる。そうしてヒットした番組はより利益の上げやすい時間帯へ移行、利益のための制約が先行し、番組は精彩を欠いたものとなってしまう。多くはこのパターンと考えられる。

 番組自体は変わらずおもしろいのに、そう感じられなくなってしまうことも。放送時間の移行に伴うターゲットの変更で番組内容が変わってしまえば、深夜時代のファンが離れていくことはどうしてもある。テレビ番組に限ったことではないが、メジャーになった途端つまらなく感じてしまう複雑なファン心理もあるだろう。知名度が上がることでアンチも増え、否定的な声ばかり大きく聞こえるのも悲しい現実だ。

 レッドシアターはそんな諸事情と上手に付き合えているように思う。特に視聴者層の変化に合わせた対応は見事であり、前クールまでこの枠で放送されていた「爆笑レッドカーペット」に出演している芸人にコントを演じさせるなど、番組の本質を変えずに新しいファンを獲得する努力が見て取れる。

 24日の放送では、あの加藤茶にメンバー全員の名前を覚えてもらおうという企画が行われていた。あの手この手で印象づけようとする若手芸人たちと、首をかしげながらも少しずつ正解を出していく加藤。まるでブラウン管の向こうにいる流行の芸人を覚えようとする父親とそれをひやかす子どもたちが見えるような、楽しい企画であった。深夜ならばきっと放送されることのなかったものであろう。

 一度ゴールデンやプライムに降りてきた番組が深夜に戻ることは許されない。移行先で成功できなければ消えゆくのみだ。だからこそ安易な時間帯移行はやめてほしいのだが、悲しいかな、視聴者の思いはなかなか伝わらない。それならばせめて、レッドシアターが久しぶりの脱深夜成功例となることを祈る。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)