トータルテンボス(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)が「S-1バトル」で早くもV2を達成した。「爆笑オンエアバトルチャンピオン大会」の2連覇に続き、今年のトーテンはタイトルづいている。
トーテンがS-1に参戦した動画は、ボケの大村がツッコミの藤田に仕掛けたいたずらを収めたもの。3月は藤田のたばこを花火入りの物とすりかえ、5月は藤田の立ち位置にローションをぶちまけた。なにも知らない藤田は燃え盛るたばこに驚き、無防備に転倒するというわけだ。実に子供じみた内容であるが、これによりトーテンは2千万円もの大金を短時間で手にした。
本来トーテンが得意としているのは比較的長尺の漫才である。つかみ、かぶせ、オチ、しり上がりにおもしろくなる彼らの漫才は、とても1分程度で堪能できるものではない。ショートネタ番組に出演する時は漫才のごく一部をつまんだものを披露しているが、やはりどこかもの足りなさを感じる。
ショートネタという流行に乗れず、得意分野であるはずのM-1でもめぐり合わせが悪かったトーテンの不遇さ。それを誰よりも強く感じていたのは当人たちであろう。しかしこの青天の霹靂。まさかいたずらで、焦がれてやまなかったM-1の2倍もの賞金を手にしてしまうとは。
舞台でネタを披露するM-1やR-1とは違い、S-1は動画が携帯電話で配信されるシステムとなっている。いつでもどこでも携帯電話で見られる手軽さから、審査員はお笑いマニアよりもライトユーザーが多いのではないだろうか。お笑いコンテストの審査というよりも、YouTubeやニコニコ動画を楽しむ感覚でトーテンのいたずらが受け入れられたのかもしれない。これが計算ずくだとしたら、彼らはハンパねぇ策士である。
しかもトーテンのいたずらはただのいたずらではない。S-1バトル以前から大村は藤田にたびたびいたずらを仕掛けており、その模様はDVDなどで見ることができる。彼らのいたずらはファンにとってはおなじみであり、持ちネタといってもいいレベルのものだ。受賞について藤田は自分が『あまりにも何もしなさすぎる』と申し訳なさそうに話していたとのことだが、持ちネタで2千万円と考えればもっと胸を張っていい。
トーテンがこういった形でS-1バトルを2度も制した以上、他の芸人はこれに追随することはできない。いたずらは笑いを取る手段として非常に単純であるが、だからこその早い者勝ちであり、二番煎じはナンセンス。しかもいたずらは星の数ほど存在するのだ。
柳の下にどじょうがわんさかいながらも他人が手を出せない状況を作り出したトーテン。やはり彼らはやんごとねぇ策士なのかもしれない。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)