writer : techinsight

漫画「キャプテン」に憧れた野球少年たち

ちばあきお氏原作の「キャプテン」という野球漫画をご存知だろうか。30代より上の野球好きな人なら、一度は読んだ事のある作品だろう。イチロー選手がこの中の登場人物イガラシに憧れていたという話は有名だ。現在、アニメ版が「PlayStationStore」でレンタル配信されている。勝つ事への基本とも言える要素が盛り込まれているこの「キャプテン」の魅力とは何だろうか?

「キャプテン」とは、ちばあきお氏原作の中学野球漫画である。主人公の谷口タカオは野球の名門中学である青葉学院から、墨谷二中へと転校してくる。元々青葉では二軍の補欠だった谷口だが、青葉のユニフォームを見た墨谷ナインから期待されてしまい、その期待を裏切らないべく陰の努力で実力をつけていき、ついには墨谷のキャプテンに任命される。負けて当たり前の墨谷で、谷口はナインに「最後まで諦めないこと」を自ら形で叩き込んでいき、ついには古巣青葉学院を倒して日本一へと上り詰めるという物語だ。

この作品はそのタイトル通り墨谷二中の「キャプテン」が主人公の物語。谷口から丸井、そしてイガラシから近藤と、墨谷二中の歴代キャプテン4人を中心にストーリーは展開していく。「最後まで絶対に諦めないこと」「才能の差は努力で埋まること」を教えた谷口。その谷口を尊敬し、ナインとの衝突がありながらも一緒にキャプテンとして成長していく丸井。抜群の野球センスを持ちながら、他のナインにも同様の才能を求めてスパルタ指導するイガラシ。中学生離れした速球を持つ投手だが自己中心的な性格の近藤。谷口は優柔不断、丸井は短気、イガラシは口の悪さ、近藤は自分勝手と、最初から完成された主人公なのではなく、それぞれに長所もあれば短所もある部分が面白い。また、物語自体も全てが上手くいくわけではなく、負ける事もあれば失敗する事もある。谷口らキャプテンはそれぞれ、そのやり方にナインから反感を買ったり、悩んだりもする。その中で彼らが成長していく姿は、見ていて勇気付けられる。悩んだり落ち込んだりしている時にも元気付けられる作品が、この「キャプテン」の不思議な魅力だろう。

PlayStationStoreでは1話200円で配信されている。アニメ版ではイガラシがキャプテンを務めるところまでが描かれており、
展開こそ早いものの、「キャプテン」の面白さは十分に再現された内容となっている。野球好きな人にはもちろんの事、それ以外の人にも一度は観てもらいたい作品だ。
(TechinsightJapan編集部 林裕之)