この【どっちに乗りたいCar!?】は、ライバルとなる車種同士、または、あるひとつの車種にスポットを当てて、どちらの車種が、またはどのタイプがが”買い”かを編集部の独断と偏見で決めようというもの。
今回の対戦カードは「バネット VS タウンエース」。永遠のライバル、日産とトヨタ、それぞれが誇る商用車同士の対決だ。
日産はこの度、新型の小型商用車「NV200バネット」を発売した。4ナンバーのワンボックスタイプのバンとして、日本中のあらゆる業種の頼れる存在である。しかし、日産の商用車には永遠のライバル、トヨタが同じクラスに「ライトエース」というモデルをラインナップしている。ライトエースも昨年新型がリリースされた。その勝敗の行方を探ってみたい。
まず、最近では、環境への配慮というのが大きな課題であり、争点である。
タウンエースは10・15モードで13・0km/L、一方バネットは14.0km/Lである。(マニュアルトランスミッション車)また、バネットは、本年4月から施行されている「環境対応車普及促進税制」による減税措置に適合しており、自動車取得税と自動車重量税が75%あるいは50%減税される。
価格はタウンエースが税込み車両本体価格1,500,000円からで、バネットは、1,572,900円からである。ここでは、タウンエースが1歩リードであるが、先に述べた減税のことを計算に入れると、その差はほとんどないようなものである。
荷物や人の輸送がバンの役割であるが、その荷物や人をどれだけ積めるか、また、そのときの使い勝手がとても重要だ。
荷台の容積では若干であるがタウンエースのほうが大きく、こちらに軍配が上がるが、バネットにはタウンエースにはない大きな武器がある。それは、3列シートである。タウンエースは最大で5人のりであるが、バネットは最大7人まで乗車可能である。荷物を運ぶだけであれば、3列目のシートは不要だが、人を運ぶという用途ではバネットは大きくリードしている。
また、タウンエースは、後輪駆動である。冬の積雪時には、スタッドレスタイヤを装着しても、後輪駆動車はスリップしたり、轍にはまって抜け出せなかったりすることが多くある。そのため、冬に積雪がある地域では、後輪駆動ベースのの商用車はそのほとんどが4WD車である。しかし、タウンエースには4WDの設定がなく、積雪のある地域での販売は期待できない。
一方のバネットはというと、このクラスの商用車で始めて前輪駆動の方式を取り入れた。こちらも4WDの設定はないが、前輪駆動であれば、多少の積雪でも問題なく走行できる。そうなれば、日本の北半分の軍配はバネットに上がる。
1クラス上のハイエース(トヨタ)とキャラバン(日産)の対決では、トヨタに圧倒的な差でシェアを握られている日産だけに、このクラスでは何が何でも勝ちを取りたいに違いない。
だが、この比較の結果からすれば、そう躍起にならなくても日産バネットの勝利は決まったも同然である。
(TechinsightJapan編集部 ”自動車魂世界一”car journalist 木下)