選挙、入試、就活から買い物、読書にいたるまで生活を取り巻くあらゆるものがデジタル化する時代。大人社会においては、パソコンをはじめスマートフォンやタブレットはもはや欠かせないコミュニケーションツールといっても過言ではない。同様に、子ども目線の教育現場でもデジタルツールを取り入れた動きが加速している。例えば、国語デジタル教科書は現在、全国の小中学校の1割近くで導入済だ。タッチパネルで操作ができる電子黒板も、文部科学省のバックアップもあって普及が進んでいるという。こうした学校における様々なデジタル化は、教育の質を高めることを狙いながらコストカットと教育者の負担軽減も期待され、今後も全国的に広がっていく見通しだ。では、学びの両輪の片方が学校であるなら、もう一方の家庭学習においてはどうだろうか。「進研ゼミ小学生講座」で知られるベネッセが先ごろアップしたWEBサイト『これからの教育』に、そのヒントがあるようだ。
ベネッセが今年開設したWEBサイト『これからの教育』では、デジタル教材の導入が進む現状を踏まえ、従来型のアナログ(紙や実物)の学びに加えて、最新のデジタルツールをどう上手く活用していくかを専門家らが説いている。それによれば、デジタル学習の良いところは「おもしろくて、つながって、便利」という3点。1つめの「おもしろい」は、文字だけではなく音声や映像などが加わることによって表現できる幅が増し、より創造性が育めるメリットを挙げている。2つめの「つながる」は、教室内で先生と生徒がつながって教え合ったり、世界中のどこにいても最先端の情報につながったりという、どこでも誰とでもつながるインターネットマシーンという視点。閉じた教室がSNSにより、地域や保護者とつながることも期待される。3つめの「便利」は、繰り返し学習などデジタルならではの効率的でスピーディな学びができるという観点である。
このように「おもしろくて、つながって、便利」なデジタルツールだが、それなら何でもデジタルで良いのかというと決してそうではないと専門家は言う。子どもが学びたいと思ったものに出会った時、どういうやり方があるかを考え、手段としてアナログとデジタルを組み合わせて使う、いわば“良いトコどり”をすることが大切だという。具体的には、理科であれば実験というカリキュラムを通して実体験することが、興味や関心を深めるうえで最も望ましいが、もし危ない実験や準備が難しい場合は、映像で見るだけでも価値がある。あるいは、3年生で学習する漢字200字すべてをいつでも見ておきたいのなら、紙のポスターの方がパソコンモニターよりも一覧性があって便利である。つまり、デジタルとアナログのそれぞれ良いところを、その時々の目的に応じて上手に組み合わせていくことが、今の学びのスタイルに求められているのだ。
とはいえ、家庭学習において“良いトコどり”の見極めは悩ましい。そこで、ベネッセの「進研ゼミ小学講座」では、教材「チャレンジ」と連動したデジタルツール「ポケットチャレンジ」によって、紙とデジタルを巧みにミックスした効果的な学習スタイルを提案。紙だけでは得られない音声や映像を用いた五感をフルに使う「ポケットチャレンジ」は、集中力の持続やヤル気の向上に繋がると、専門家もその利点を挙げている。好奇心旺盛な子どもにとって、学習に取り組むきっかけは「楽しい」方が断然、身になる。デジタル化が発展途中の今だからこそ、“良いトコどり”の学習法で、無限大の可能性を秘めた子どもの能力がさらに広がるかもしれない。
■『チャレンジウェブ これからの教育』 http://navi.benesse.ne.jp/sho/all/others/kenjin/
■『ポケットチャレンジ』 http://sho.benesse.co.jp/s/cp/gate/pocketchallenge/index.html
(TechinsightJapan編集部 大川佐和子)