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【異文化妊婦レポート in U.S.A】アメリカの腹帯~小児科医選びは面接で~初めてのベビーシャワー。

こんにちは。【イタすぎるセレブ達】ライター、アメリカ東海岸在住のブローン菜美です。現在妊娠9ヵ月、アメリカ人の夫と共に初めての妊娠生活を送っています。米国の妊娠・出産事情を「異文化ママ」の視点から少しずつレポートしていくコラム第4回は、腹帯についてや小児科医選び、ベビーシャワーについてお伝えします。

■腹帯ってアメリカにあるの?
日本では妊娠5ヵ月の「戌の日」に安産を願ってお腹に巻く腹帯。お腹の赤ちゃんを保護し、妊娠線を防いで骨盤を引き締める効果もある日本ならではの伝統です。もちろんアメリカには腹帯着用の習慣はありませんので、お腹に何かを巻いている妊婦自体を、あまり見たことがありません。産婦人科医に「お腹に何かを巻くべきでしょうか?」と相談しても、「お腹を支えるベルトのようなものを着用する妊婦もいますが、医者として特に何もお勧めはしません。アナタ次第ですよ。」との素っ気ない返事が返って来ました。

ところが妊娠7ヵ月を過ぎた頃から腰痛に悩まされるようになって来た私。腹帯に代わるものがアメリカにも売っているはずと、マタニティ・ショップに出かけてみました。店頭で腰痛を訴えると写真のような、マジックテープで留めるスポーツ用のベルトのようなものを勧められ、早速試着させてもらうとすぐに腰痛が和らぐのが分かりました。しめて約30ドル(約2450円)のお買い物でした。

調べてみると、アメリカでも日本の「ハラオビ」の伝統に注目している妊婦は少なからずいるようで、ネット上のマタニティフォーラムに「サラシはどこで買えるの?」などというスレッドが立っているのも多数目にしました。アメリカでは「ハラオビ」にヒントを得た商品として、『Bellaband』『Belly Bandit』などの名前で発売されているものもあり、レースがついた腹巻き型のものや、可愛いイラストが入ったベルト型のものなど、お洒落な“腹帯もどき”を手に入れることが出来ます。しかしアメリカの妊婦達は、むしろ産後の緩んだお腹の引き締めベルトの方により興味があるようで、同じ原理の「産後用ベルト」のほうに、より注目が集まっているようです。

■産まれてくる子供の小児科医を「面接」で決める
日本でもかかりつけの小児科医を選ぶ際は、口コミでの評判などを考慮し、近くて対応の良い病院を選んでいる方が多いと思います。アメリカでは妊娠30週を過ぎる頃になると、産科医から「小児科医はもう決めましたか?」と質問され、出産前にかかりつけ医を決めておかなければなりません。なぜなら赤ちゃんが誕生したと同時に、一人一人の親が事前に選んだ小児科医が産科にやって来て診察をし、その後も同じ医師が同じ赤ちゃんを担当し続ける、というシステムだからです。ですから出産までにリサーチをし、自分達が納得の行く医者を選んでおく必要があります。

アメリカで小児科医を決める際には、まずは自分の加入している医療保険を受け付けるかどうか、交通の便、週末や時間外の対応など基本的なことをチェック。そして面白いのは、そうして絞り込んだ「候補者」にアポイントを入れて相性や人となり、その医者の信条などを、こちらから「面接」することが出来る点です。もしその医者との相性が合わなければ、別の医師に替えてしまえばいいだけ。面接をするだけなら費用はタダで、医師の側もそうした面接を受けるのには慣れています。

私達夫婦も地域の小児科医を絞り込み、面接のアポを一つ取ってみました。近くのHクリニックのJ医師は中年女性で、自らもティーンのお子さん2人を持つママさん小児科医。診察時間外に誰もいない待合室で、膝を突き合わせてのカジュアルな面会になりましたが、無駄な威厳のない「近所のおばちゃん」のような先生で大変話しやすく、私達夫婦は一気に気に入りました。もちろんJ医師のクリニックの診察体制や、経歴、評判なども考慮に入れた上ですが、この先生なら気兼ねなくいろいろなことを相談出来そうだと確信した我々は、J医師をかかりつけ医にすることに決め、通っている産科に報告。こうなればもう一安心、私のベビー誕生の日には、誕生後すぐにJ医師がやって来てくれて、早速診察を始めてくれることとなります。

■ベビーシャワーとベビーレジストリー
「ベビーシャワー」はベビー誕生の数ヵ月前に主に女性だけで妊婦をお祝いするパーティのこと。欧米を中心に行われている慣習で、プレゼントを持参して、それで妊婦を「シャワー」することからこの名前が付きました。パーティのホストは妊婦の友人や親戚などで、軽食やケーキが振る舞われ、プレゼントを皆の前で開けて「お披露目」するのがメインイベント。その他に「赤ちゃんの誕生日当てゲーム」などの余興が行われたりします。

私の場合は、夫の妹がベビーシャワーを開いてくれることになりました。ところがその義理の妹も偶然なことに、パーティ企画後に妊娠が発覚。偶然にも「ホストする側も妊婦」という大変珍しいシャワーになったのです。義妹は秘密裏にシャワーの準備を進めていたのですが、事前に私に誰を招待したいか聞くところで、企画をバラしてくれました。そこで招待者リストの他にホストに知らせておくべきなのは、「ベビーレジストリー」の有無です。

「ベビーレジストリー」とは、妊婦があらかじめベビー用品店などに欲しいもののリストを登録しておき、シャワーの出席者に知らせるというもの。プレゼントに同じものが重複するのを避けられるほか、自分達ではちょっと買えないような、高額な品をちゃっかりと「おねだり」することもできる、便利なシステムです。私達は2社にオンライン・レジストリーを作成。夫婦であれこれ頭を突き合わせながら、ベビーキャリーやベビー服、カーシートやストローラーなどを選び、商品を登録しました。もちろん店頭で実際の商品を見ながらバーコードスキャナーを手にレジストリーを作ることも出来ます。

事前にホストがレジストリーを知らせてくれたため、シャワー当日には、沢山の招待客が私達の欲しかった「夢のアイテム」をプレゼントしてくれました。もちろんレジストリーにこだわらず、ユニークなギフトを下さった招待客も沢山いました。シャワー当日は、会場である義妹の自宅がピンクと白の風船やリボンで飾り付けられ、「It’s a Girl」の文字があしらわれたクッキーが用意されて、お祝いムード満点。そうです、私のベビーは女の子なのですが、プレゼントのお披露目を終え、ベビーベッドのお飾りがついたケーキをいただきながら「産まれる前から赤ちゃんを祝福してもらえるシャワーって、何て素敵な習慣なのかしら。」とつくづく思った一日でした。日本では出産後にお祝いをあげる習慣がありますが、お友達同士でプレゼントを持ち寄ってのベビーシャワーを企画されるのも、きっと楽しいのではないでしょうか?(つづく)
(TechinsightJapan編集部 ブローン菜美)