writer : tinsight-yokote2

【巨大地震・盛岡から】その11 PTSD発症の懸念も。被災地に溢れる涙。「思い切り泣いていいんですよ」と専門家。

連日メディアで報じられる被災地および各避難所の様子を、盛岡より固唾をのんで見守っていますが、ここ3日ほど特に、被災者の方々の号泣する姿を見ることが多くなっています。形をとどめていない我が家を目にした絶望感、家族の遺体と対面しての深い悲しみ、再会の感激と様々ですが、専門家は「こういう時は皆さん泣きたいだけ泣いて」と話しています。

18日付の地元紙「岩手日報」は、夫と共に避難していたものの食欲を失くし、水も飲まず体を動かさなかった陸前高田の80代女性が16日に急性心筋梗塞で亡くなり、避難住民に心的外傷後ストレス障害(PTSD)発症者が見受けられると報じています。

そのような中、宮古市の「たかはしメンタルクリニック」の高橋幸成院長が避難所を巡って人々の心のケアに当たっており、「つらかったら思い切り泣いていい。過去のことや先のことなど考えず、ただ今日1日を生きていくことを考えて」と声を掛けている様子です。

実は記者の親類に、「傾聴ボランティア」に携わっている者がおります。耐える、頑張る、弱音を吐かないことは一種の「美徳」ではあっても、実は人間はそんなに強い精神力を持っているわけではなく、自分が弱くなっている時には思い切り泣いて、誰かに愚痴をこぼせばいいと言います。

今回の巨大地震では明白なPTSD発症者ばかりか、その一歩手前の状態を含めると、相当数の人がこれから何年、何十年と心にひどい苦しみを抱えて生きていくことになります。

専門家に任せるだけではなく、我々にも「傾聴」ということなら出来ます。これから多くの避難住民を受け入れるであろう盛岡です。被災者の方には積極的に、“辛かったでしょう?具合はいかがですか?” と温かい声を掛け、その苦労話に耳を傾け、好きなだけ泣いてもらいたい。そう思っています。
(TechinsightJapan編集部 古瀬悦子)