writer : techinsight

都心→羽田より成田の方が早く行ける?山本寛斎デザインの新型車が時速160kmで走る。成田空港への新路線まもなく開通。

ゴールデンウィークで成田国際空港を利用する人も多いだろうが、毎度指摘されるのが「都心から遠い」ということだ。現在は鉄道が2路線、JRの成田エクスプレス、京成電鉄のスカイライナーというそれぞれ有料特急が空港のアクセスを担っているが、どちらも都心から1時間弱の所要時間がネックとなっている。

この状況を打破すべく計画されたのが、成田新高速鉄道(=成田スカイアクセス)だ。これは、海外旅行の増加などにより成田空港の利用者数が増加した1980年代に、アクセスの向上のため成田空港への新線の開通を目指して第3セクター方式で始動したもので、京成上野-京成高砂間は京成電鉄の路線、京成高砂-印旛日本医大間は北総鉄道の路線と、それぞれ既存の路線を運行することとし、印旛日本医大から成田空港までは新線が建設された。

そして、本年7月17日よりついに運行が始まる。実際の鉄道の運転営業は京成電鉄が担当するため、スカイライナーが成田スカイアクセスとして運行することとなる。

※成田国際空港株式会社ホームページより

その所要時間は日暮里-成田空港間がこれまでより15分短縮され36分となる。これは日暮里-羽田空港間をJRとモノレールを乗り継いで行くよりも早い時間だ。成田スカイアクセスの開通に際しては、山本寛斎氏がデザインを手がけた新型スカイライナー車両を導入。その最高時速は在来線では国内最速の時速160キロだ。成田空港と都心をスピーディーに結ぶことが期待されている。

この成田スカイアクセスを広くアピールしようと、京成電鉄も躍起になっている。この大型連休期間中には、成田国際空港株式会社と共同で、ウェットティッシュとセットになったPRチラシを連日1万部配布。昨年10月に成田空港のB滑走路が2500メートルに延伸され、発着枠が増加したことも加えて成田空港および空港へのアクセスがさらに便利になることを必死にアピールしている。

もちろん、成田エクスプレスを運行するJR東日本も黙ってはいない。3月のダイヤ改正で横浜方面の列車を9往復増発したほか、渋谷駅や武蔵小杉駅に全列車を停車させるなどし、神奈川、多摩方面からの利用客の取り込みを図っている。

また、昨秋からは新型車両E259系を導入。車内にダイヤル式ロック装置や防犯カメラを設置するなど、安全面に配慮した設計となっている。ちなみにこちらの最高運転速度は時速130キロだ。

いずれにせよ空港へのアクセスが快適になるのは利用者にとっては好ましいことだ。なお、成田スカイアクセスでは沿線にある千葉ニュータウンの住民や、印旛沼などへの観光客にも配慮し、通勤型電車を用いた鈍行列車も併せて運行する予定となっている。
(TechinsightJapan編集部 鈴木亮介)