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昇進の平均、課長は39歳、部長は47歳 5年前より早まる傾向に

貴方の会社は平均以上?平均以下? 役職別昇進年齢の実態と昇進スピード変化の動向について、興味深い調査が行われた。

民間調査機関の財団法人 労務行政研究所は、企業における係長・課長・部長相当の職位、いわゆる「役職」への昇進年齢の実態、さらに5年前と比較した昇進スピード変化の動向について調査を行い、その結果を発表した。

調査は昨年10月から12月にかけて、上場企業を中心に4003社を対象に行われ、そのうち回答のあった138社の結果をまとめた。138社の内訳は製造業が63社、非製造業が75社となっている。

今回の調査結果によると、各社の制度上想定される最短昇進年齢の平均値は、「係長」が29.5歳、「課長」が33.9歳、「部長」は40.1歳となった。2005年に同研究所が同様の調査を行った際の結果と比較すると、「部長」は0.9歳早くなっている。
一方、実際の昇進年齢に近い「標準」の平均値は係長が32.7歳、課長が39.4歳、部長が47.0歳となった。

課長への実際の昇進スピードについて、今回調査時点(=2009年)と5年前の2004年との比較で尋ねた結果は、「変わらない」が56.9%と多いものの、「早くなっている」という回答も3割近くの28.5%に達した。

さらに、同期入社または入社年次が近い社員の課長昇進に関して「昇進までの年数の個人差が大きくなった」、すなわち早い者と遅い者との差が広がったと答えた企業は全体の43.9%にのぼり、早期登用の広まりなどから昇進スピードの個人差は広がる傾向にあることがわかった。

では、昇進年齢の変化についてどのような理由が挙げられるのか。課長および部長について、昇進が「早くなっている」または「遅くなっている」場合の理由を複数回答で尋ねたところ、「早くなっている」理由としては「若返りを図るため、若手を積極登用した」が最も多く、課長で67.6%、部長で63.2%といずれも6割超を占めた。これに「成果主義、能力主義の浸透」が課長56.8%、部長60.5%と続く。

これに対して「遅くなっている」理由のトップは「ポスト不足」で、課長、部長とも回答の7割超を占めた。ただし、前回05年調査では課長で91.7%、部長で85.7%にのぼっていたことと比べると、その割合は下がっている。そして「昇格基準を厳格に運用している(または厳格化した)」が課長で42.1%、部長で50.0%と続き、こちらは前回の結果が課長で33.3%、部長で21.4%となっていたことから、こちらは増加傾向にあることがわかる。

こうした変化の背景について労務行政研究所は、「成果や発揮能力を重視する制度の広まりに加えて、バブル期の大量採用層が昇進対象年代にかかる中、ポスト登用時の選抜をより厳格化する動きがあるものとみられる」と分析している。

今回の調査結果の詳細は『労政時報』第3771号でも公開される。
(TechinsightJapan編集部 鈴木亮介)