「35歳の年収は、10年前より200万円下がった」…この見出しが最近、若年層を中心に大きな衝撃を与えている。2009年12月に発売された書籍『”35歳” を救え』（阪急コミュニケーションズ刊）が示した「現実」だ。低い年収で結婚をためらう男性、住宅ローンが支払えなくなり生活破綻する家庭。大学卒業時に直面した「就職氷河期」以来、団塊ジュニアは苦難の人生が続いている。就職氷河期の再来といわれる今年の学生はどう考えているのか、学生の就職活動の最先端に迫った。

今月、某大学で就職活動中という大学3年生に話を聞いた。
「内定が出るか不安です。特に内定が出ていない先輩を見ると…」
「30代の年収が10年前に比べて200万円も下がっているとは、衝撃でした。大手企業に入れれば良いのですが…自然と給料が高い会社を選んじゃいます」
「食品メーカーで商品企画をやりたいのですが、興味がない他の業界の大手企業も受けています。中小のメーカーと、他業界の大手の両方から内定をもらったら、おそらく大手企業を選ぶと思います」

このように、学生たちは一様に不安を口にしていた。では、彼らはこの就職氷河期をどのように乗り切ろうとしているのか。

「100社ぐらいエントリーして、手当たり次第エントリーシートを出しています。数打てば当たるのではないかと…」
「キャリアセンターを活用しています。ただ、1ヶ月先ぐらい予約が埋まっていて、なかなか相談ができないんですけど…」
「友人達には内緒なのですが…実は、隠れて就活専門の塾に通っています。就職って、人生の一番大きなターニングポイントだと思うのです。生涯年収が1～2億円は違ってくるわけですから。そう考えると、専門家による指導で内定を勝ち取るために、こうした自己投資は必要だと思います」

数十名聞いた中で、最後の子が一番気になった。“就活専門の塾？？”聞き慣れない言葉に耳を疑った。記者の時代には、就活を専門に掲げる塾など皆無であったように思う。そこではいったいどのような指導が行われているのか。5年前に就活塾の草分け的存在として開校し、東京や大阪など全国6拠点で展開する「楽！楽！内定塾」に直撃した。

「私たちの持ち味は、何と言ってもフィードバックでしょう」と語るのは、講師を務める柳田氏だ。「どうすれば良いのか、というマニュアルは巷に溢れていますが、どうして落ちたのかは誰も教えてくれません。自分のどこをどうすれば良くなるのかを、私たちは一人一人にしっかりとフィードバックし、内定を勝ち取れる力を身につけてもらいます」

では、内定を勝ち取れる力とはどのようなものか。柳田氏によると、内定を取れる学生の共通点として、「主体的に考え、行動できる」という点が挙げられるという。また、コミュニケーション能力に優れ、チャレンジ精神に充ち溢れている学生を企業は求めているという。

つまり、安定志向であったり、受け身であってはダメということだ。例えば、面接で「福利厚生が整っているから御社を志望しました」なんて言ってしまうと、真っ先に落とされる可能性が高い。しかし前述の通り、今の学生は総じて安定志向タイプが多く、それゆえに大手企業を志望している。この矛盾を取り払わなければ、内定は得られないようだ。

「楽！楽！内定塾」では、学生に潜在する主体性を見つけ出し、それを基に「自己PR」・「学生時代に頑張ったこと」など定番の質問に返答できるように指導するという。

柳田氏は、次のように語る。「面接本番で、学生は自分の魅力の10％ほどしか伝えきれていない。魅力的なエピソードがあるのに、違うエピソードを話したり、具体的な話が出来なかったりする。私たちの仕事は、学生の魅力を100％伝えれるようにしてあげること。そうしたら、自然と結果は付いてきますよ。」

就職氷河期の再来。どのように就職活動を行うかで人生変わるのではないだろうか。少子高齢化が進み、労働者人口が減っているこれからの時代、老後の生活など数々の困難、不安が待ち構えている。35歳年収300万円では生きていけないだろう。だからこそ、今後のキャリアを決める新卒の就活は人生最大のターニングポイントと言えるし、自分で独りよがりの就活をして失敗するのは、大きなリスクだ。入る会社だけでなく、その後の生き方にも大きな影響を及ぼす就職活動。それに対する自己投資はし過ぎても、し過ぎることはないと言えるだろう。

「楽！楽！内定塾」の塾生は現在120名を突破。前年から2倍に急増しているという。オフィスにいた塾生に、感想を聞いてみた。
「大学外のモチベーションが高い仲間と出会えたことが最大の収穫です。学校の友達には話せない就活の情報交換も気兼ねなくできるので」
「最初は不安でしたが、エントリーシートの書き方を学んで、自信がついた」
「自分1人だったら、この時期までにあれとこれをして…など分からなかった。正確な情報が得られたことが良かった」
「わからないことがあったら、いつでも電話一本で聞けるので、不安が軽減されています。就活って初めてのことばかりなので、採用のプロが傍にいるのは心強い。」
「本当に他では教わらないようなノウハウを教えて頂けて、本当に良かった」
「志望企業のよく出る質問の対策ができて、面接慣れできた」

http://naitei-jyuku.jp/

（TechinsightJapan編集部　鈴木亮介）